欧州:EUAが、今後のエラスムス+プログラムの発展に向けた勧告を発表

欧州大学協会(EUA)が、2016年に実施したエラスムス+プログラム※1についての調査(本サイト2017年1月10日掲載記事)の結果を基に、2020年以降に開始する新たなエラスムス+プログラムの開発に向けた10件の勧告を作成・発表した。なお、エラスムス+プログラムの実施主体である欧州委員会(EC)は、2017年2月28日から5月31日まで、当プログラムに関するパブリックコンサルテーションを実施している。

※1・・・エラスムス+プログラムは、最大500万人が他国での教育及び職業教育を受けられるようにするための欧州委員会による助成金プログラムである。以下3つのカテゴリから成る。
・Key Action1(以下、KA1) Learning Mobility of Individuals(個人の学習モビリティ)
・Key Action2(以下、KA2) Cooperation for Innovation and the Exchange of Good Practices(イノベーションへの協力と優良事例の交換)
・Key Action3(以下、KA3) Support to Policy Reform(政策改革支援)

なお、実施初年度(2014年)に公開したECによる年次報告書に関する記事はこちら(本サイト2016年3月29日掲載記事)

〇10件の勧告

  1. 申請や管理、実施報告のルールや要件、プロセスの継続的な簡素化(事務負担軽減)
  2. データの互換性の向上及びユーザーフレンドリー機能の強化(ペーパーレスやオンライン・ツール※2の拡大)
  3. 助成金利用の融通性向上
  4. 助成金の増額
  5. 欧州規模での一体化したプログラムの維持及び強化(プログラムの付加価値向上)
  6. プログラムの魅力及びアクセシビリティの向上
  7. KA1の学生モビリティによる公平性の促進
  8. 緊急課題への柔軟な対応(難民への支援等)
  9. より良いサポートの普及と成果の共有
  10. 高等教育機関及び各国機関との協力関係の強化

※2・・・オンライン・ツールとは、オンラインの申請フォーム等のほか、エラスムス+プログラム参加者が受けられるオンライン版の言語学習サポート(OLS:Online Linguistic Support)を指す。OLSは、エラスムス+プログラムに参加する者全員が利用の対象となり、オンライン上でチューターから指導を受けたり、Moocsを受講したりすることで、派遣先の言語を学ぶことが出来る。

勧告のポイント

〇事務負担の軽減

勧告1において、特に管理運営上の負担が大幅に増加したKA1において緊急に簡素化が進められるべきとしているとともに、勧告2及び3においても、オンライン・ツールの拡大や助成金使用の融通性向上が事務負担軽減をもたらすとしている。また、勧告6において、複雑な申請手続きや運営プロセスはプログラムの魅力を低下させるとしている。このように、プログラム参加機関の意見として、現行のエラスムス+プログラムは、事務負担軽減が大きな課題となっていることがわかる。

〇助成金利用の融通性向上及び助成金増額

勧告3において、プログラムの助成金利用の融通性向上は、国・制度とエラスムス+プロジェクト間における規定の矛盾の回避やコスト軽減のため重要だとしている。また、特にプログラム実施に伴う旅費について、助成金利用範囲を改良すべきとしている。さらに勧告4において、プログラムの成功率向上のためには、助成金額の増加が必須としている。特に助成金が不足していることにより、成功率が低いKA1のエラスムスムンドゥス共同学位(EMJD)やKA2の共同プロジェクトにおいて増額が必要としている。また、需要が高い中南米や先進国が多くの助成金を利用できるようにすべきであるとしている。

〇難民支援

勧告8において、難民のエラスムス+プログラムへの参加は、国際的な協力関係及びネットワークの強化のみならず、長期的な社会・経済的利益を創出し、難民に対する世界的な意識を高めるとしている。2015年時点のエラスムス+プログラムガイドにおいては、難民は優先グループとして明示されているが、KA2及び3によって間接的に支援されているに過ぎず、具体的な支援活動を確立すべきであるとしている。

〇高等教育機関との協力関係構築

勧告2において、オンラインツール開発や改善の際には、ステークホルダーである高等教育機関等に動作確認の協力を得るべきとしている。また勧告10において、高等教育機関のスタッフや学生に対して、パブリックコンサルテーション以外にプログラム改善に向けた体系的かつ一貫した協議を行うべきだとしている。

原典:EUA’s recommendations for the future Erasmus+ Programme(英語)

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