EUAが、エラスムス+プログラムの中間レビューに係る報告書を公開

出典:EUA(欧州大学協会)(英語)

2014年から2020年にかけて実施されている助成金プログラム「エラスムス+プログラム※1(参照:NIAD-QE国際連携ウェブサイト)」について、その実施団体である欧州委員会(EC)は、2020年以降に開始する新たなプログラムの開発のため、2015年末から2017年末にかけて中間レビューを行っている。その一環として、2017年2月~3月にはパブリックコンサルテーションの実施を予定している。EUA(欧州大学協会)は、このコンサルテーションに先立ち、前年2月~3月にエラスムス+プログラムの主要なステークホルダーである高等教育機関を対象に実施した調査報告書”EUA MEMBER CONSULTATION A CONTRIBUTION TO THE ERASMUS+ MID-TERM REVIEW(全60ページ)”を公開した。

※1…エラスムス+プログラムは、最大500万人が他国での教育及び職業教育を受けられるよう支援することを目的とした欧州委員会による助成金プログラムである。以下3つのカテゴリから成る。
・Key Action1 Learning Mobility of Individuals(個人の学習モビリティ)
・Key Action2 Cooperation for Innovation and the Exchange of Good Practices
…………………(イノベーションへの協力と優良事例の交換)
・Key Action3 Support for Policy Reform(政策改革支援)
なお、実施初年度(2014年)に公開したECによる年次報告書に関する記事はこちら(本サイト2016/3/29投稿記事)

調査の概要

実施機関 EUA(欧州大学協会)
対象機関 EHEA(欧州高等教育圏)に所在する全ての高等教育機関。36カ国、218のエラスムス+プログラムを実施する高等教育機関(以下、実施機関)から回答が得られた。そのうち、149機関はEUAの会員機関(全体の69%)であった。
調査期間 2016年1月~3月
調査内容 エラスムス+プログラムの包括的目標(プログラム構造の効率化、簡素化等)に焦点を当てた質問形式の調査。回答は選択式だが、質問ごとに自由記述欄を設けており、各質問に対しコメントを付すことが可能。

主な結果

Ⅰ. 実施機関における一般的経験  ※()内の数値は、”Yes(, fully)”及び”Yes, to some extent”の合計を示す
①生涯学習プログラム(LLP)等に比べ、エラスムス+プログラムは、欧州圏外のパートナーや大学以外の機関と協同するためより良い機会をもたらしたという回答が得られた。一方で、欧州圏外のパートナーや大学以外の機関からの申請は多くないというコメントが得られた。
(主な所見)
・欧州圏外のパートナーと協同するためのより良い機会が得られた(73%)
・大学以外の機関(企業やNGO等)と協同するためのより良い機会が得られた(55%)
・欧州圏内のパートナーと協同するためのより良い機会が得られた(37%)
②国からの支援は十分であったとともに、エラスムス+プログラムに係る手引書は明確で役に立つものであったと大半の実施機関が回答した。
(主な所見)
・国からの支援は常に有益で十分なものであった(91%)
・エラスムス+プログラムに係る手引書は、明確で答えが得られやすいものであった(77%)
③助成金については、使用に関するルールが明確に示されている他、融通が利くものとなっていると回答する実施機関が多く見られた一方、大半の実施機関は助成金が不十分であると回答した。
(主な所見)
・助成金使用に関するルールが明確である(92%)
・助成金使用(予算内で当初と異なる目的に再分配する等)の融通が利く(71%)
・助成金不足が、学生のプログラムへの参加の障害になっている(69%)

Ⅱ. 助成の各カテゴリにおける影響・効果
最も高い回答率(150機関、69%)を得られたKey Action1(個人の学習モビリティ)中の学生モビリティに関する主な所見のみ以下に記述する。
①欧州圏内の学生だけでなく欧州圏外の学生にとっても魅力的なプログラムであり、98%の実施機関が今後もプログラムを実施し続けたいと回答した。
(主な所見)
・欧州圏外の学生が欧州で学ぶための魅力的なプログラムである(93%)
・欧州圏内の学生が欧州圏外で学ぶための魅力的なプログラムである(84%)
②プログラムの運営面については、上述のとおり事務負担が重いと回答する実施機関が多く見られ、「学生モビリティが改善された」や「実施機関に対する事務負担量は適切であった」という質問について、”Yes, fully”と答えた実施機関は多くない。また、必要書類の煩雑さは学生のプログラム申請の妨げになっているというコメントも得られた。
(主な所見)
・学生モビリティが改善された(62%, このうち、Yes, fully:26%)
・実施機関に対する事務負担量は適切であった(55%, このうち、Yes, fully:19%)

まとめ

実施機関の大半は、エラスムス+プログラムに対し非常に満足しているという回答が得られた一方、更なるプログラムの簡素化や運営ルール及びプロセスの効率化により、事務負担軽減が必須であるという回答が多数見られた。また、実施機関からのコメントの中には、オンラインツールについて改良を求める声も多く、例えば現在複数あるweb上のコミュニケーションプラットフォームを1つにまとめるべきなど、プログラム運営には更なる改善が必要であることがわかった。

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