質の高い教育の確保を目指して―Communication on improving and modernizing education

原典: 欧州委員会(英語)

2016年12月7日、欧州委員会(EC)は全ての人に質の高い教育が確保されることを目指す声明「Communication on improving and modernising education」を発表した。同声明は欧州連合(EU)加盟国を対象としたもので、教育の改善と現代化がEUにおいて優先度の高い取組みであることを示したものである。
欧州では技能と雇用におけるニーズのミスマッチを解消すべく2016年に「欧州における新たな技能計画」を策定(本サイト2016/8/30投稿記事)し、社会のデジタル化に対応できる技能等の育成を目指している。また2010年には教育と訓練における連携に向けた枠組みであるET2020を策定し、高等教育修了率の上昇を図る(本サイト2016/12/22投稿記事)取組みもなされてきた。同声明はこれらの流れを汲み、特に「欧州における新たな技能計画」を補強するものであり、これらの達成を通して教育を改善し、若者の支援を行うことをねらいとしている。下記では高等教育分野に関する部分について説明する。

欧州は高等教育の現代化を進める必要がある。

  • 近年の高等教育へのアクセスの拡大は、欧州における成功事例の一つといえる。しかし、社会が高等教育機関の修了者に求めるものと各機関が提供する技能との間に生じるミスマッチの解消が大きな課題である。急速な社会のデジタル化に対応できる技能を育成することが必要である。

 

教員が行う教育の質は高等教育の質を改善する上で鍵となる。

  • 教員に対する教育学的な研修を行うべきである。教育学的な研修は、研究活動よりこれまで重視されてこなかったが、特に教育の質の改善は特に重要である。
  • また、学生の多様性に対応できるよう、教育の質の向上は急務であり、多様な背景を持つ学生の期待や要望に対応できるよう、教員を配置し、教育することが必要である。

 

2017年、欧州委員会は高等教育分野において一貫した取組を行う。

欧州委員会が取り組むとする内容は下記のとおり。

  • 効果的なプログラムの設計や政策の実施により、若者が今日の社会で必要とされている技能・能力を身に付けられるよう、高等教育を支援する。
  • 産学連携の構築・促進により、高等教育機関による地域改革への貢献を拡大する。
  • 研究と教育の相互連携を推進する。最先端の知識に基づく教育を行い、卒業生が分析能力や問題解決能力を身に付けるようにする。
  • 高等教育に対する十分かつ効果的な投資を促進する。
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