韓国:高等教育政策の新たな方向性を示し、大学構造改革評価の改編案を発表

韓国教育部は2017年11月30日に文在寅政権による高等教育政策の新たな方向性を示し、併せて従来行ってきた大学構造改革評価に代わる「大学基本能力診断評価」の実施計画案を発表した。

高等教育政策の方向性

今回の高等教育の政策方針は、4次産業革命、学齢人口の減少及び経済成長力の鈍化という韓国社会の状況に対応するために、大学を過度な競争的状況に置くのではなく、その公共性と自律性を拡大し、教育の質的水準を高め、大学本来の発展ができるよう支援することに焦点を置いており、その方向性を以下のように示している。

① 大学構造改革評価、財政支援事業を向上的に改編
従来行ってきた大学構造改革評価は大学基本能力診断評価へ全面的に改編し、評価の主目的を定員削減から大学の特性化支援と変更する。また、大学の財政支援事業を「一般財政支援」と「特殊目的支援事業」に簡素化のうえ再編する。

② 大学の組織体制改善の支援
大学の組織体制を改善するために国立大学の支援、小規模ながら先進的な取組を行う大学の育成、公営型私立大学※1の導入、私立大学の不正根絶を推進する。

※1 政府が私立大学の運営費の一部を支援するとともに、理事を派遣するという制度。私立大学の公共性を高めることができ、地方の私立大学等、経営難に直面している大学への救済措置として期待されている。

③ 戦略的な大学の特性化を誘導
大学がそれぞれ戦略的に特性化を推進し、教育革新、研究強化、産学連携を活性化すること支援する。併せて専門大学の職業教育体制の向上に取り組む。

④ 高等教育の公正な機会を保証
高等教育における機会を保証し、国民だれもが良質な高等教育を受けることができるよう、大学入試の簡素化及び公正性を向上し、学生の学費負担を軽減する。併せて就業・創業の支援を強化する。

大学構造改革評価

韓国では教育部が「大学構造改革評価」を実施している。これは、少子化問題に対応するため、大学の学生定員を2023年までに16万人削減することを目標とするもので、原則としてすべての大学を対象とする。2015年に298校を対象に第1サイクルの評価が実施され、評価結果に基づいて学生定員の削減の勧告及び財政支援の制限措置がなされた。
これに対し、大学関係者等から大学序列化の助長、地域間格差の拡大及び定員削減のみに焦点を置く方針に対する是正を求める声があがっていた。
そのため、2018年に実施予定であった大学構造改革評価の第2サイクルは、大学の自律的発展を支援するための大学基本能力診断評価と名称変更し改編した上で行うこととなった。

大学基本能力診断評価

①評価の区分
2015年の大学構造改革評価では大学をA~Eの5等級に細かく評価していたが、今回は「自律改善大学」、「能力強化大学」、「財政支援制限大学(類型Ⅰ、類型Ⅱ)」に区分する。また、おおよそ6割程度の大学を一定水準以上の大学と評価される自律改善大学として選定する。

・自律改善大学
定員削減勧告は行わず、大学の自律的改革を支援するための使途制限のない一般財政支援事業による支援を行う。また、教育、研究、産学連携事業からなる特殊目的支援事業により競争力向上を支援する。なお、自律改善大学は大学院定員の移動、発展戦略に伴う調整などにより自律的に定員削減に取り組むこととしている。

・能力強化大学
定員削減を勧告し規模適正化を誘導するとともに、大学の財政支援事業のうち特殊目的支援事業に参加できることとし、大学の戦略的な特性化推進を支援する。

・財政支援制限大学(類型Ⅰ、類型Ⅱ)
定員削減勧告とともに、政府の財政支援を抑制する。財政支援制限について、類型Ⅰ大学に対しては一部制限により運営効率化を促し、類型Ⅱ大学は財政支援に加えて国家奨学金、学資金貸出を全面的に制限する。

②評価方法
2段階の評価方法となっており、1段階診断で自律改善大学を選定し、2段階診断で能力強化大学、財政支援制限大学を選別する。第1段階では、大学が良質な教育を提供するために備えるべき基本的要件を総合的に診断する。その際、地域間格差是正のため、大学を5つの圏域※2に分類し、圏域内での順位を考慮の上、自律改善大学を選定する。
第2段階では大学の持続可能性などを訪問調査も実施のうえ精密に診断する。第1・2段階の結果を合算して、圏域区分は考慮せず、能力強化大学と財政支援制限大学(類型Ⅰ‧Ⅱ)を選定する。

※2 4年制大学の評価における圏域区分は首都圏、大邱・慶北・江原道圏、忠清圏、湖南・済州圏、釜山・蔚山・慶南圏。

また、評価の専門性・公正性を高めるため、評価方法を改善する。2015年の評価では、1つのチーム(7~9人)が約10大学のすべての判断指標(後述)を評価したが、今回の診断では指標ごとにチームを構成し、指標チームが担当グループ内の全大学の担当指標のみを評価することとした。

③判断基準
「診断項目」とその下に「判断指標」が設けられており、各判断指標には配点が附され、計100点となる基準となっている。これは2015年の大学構造改革評価の基準の大枠を踏襲したものとなっている。
判断項目の内訳は、4年制大学については、第1段階診断が「発展計画と成果」、「教育環境」、「授業及び教育課程運営」、「学生支援」、「教育成果」で、指標配点の累計は75点。第2段階診断は「専攻及び教養教育課程」、「地域社会協力・貢献」、「大学運営の健全性」で同25点となっている。

評価結果の活用等

診断による定員削減勧告は能力強化大学と財政支援制限大学に対し、2万人以内の合理的な水準で行うこととしている。これは2015年の構造改革評価においてA等級以外すべての大学を対象に全体で4万人規模の定員削減を勧告し、一律に数を減らすことに力点を置き過ぎているという批判があったためである。
大学別の診断結果分析資料は大学へ提供され、各大学が診断結果を活用することができる。また、診断情報は入学希望者の大学選択の客観的資料として公開されることとしている。

今後のスケジュール

2018年3月に各大学から報告書が提出され、4月から8月に診断評価を実施する。結果は8月末に発表され、財政支援・制限施策は2019年から適用される。2020年には能力強化大学、財政支援制限大学に対する補完評価※3を行い、2021年には次サイクル評価が実施される予定。

※3 補完評価の結果、改善が見られた大学に対して財政支援制限の解除、追加財政支援を行う。

原典:韓国教育部 (韓国語)

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