イギリス:学生局による新たな高等教育機関登録制度が始動!

2018年4月よりイギリス(イングランド地方)で、学生局(OfS)による新たな高等教育機関登録制度(登録は任意)が始まり、2018年7月19日に、最初の登録校として42校が認定された。登録機関に所属する学生は、政府支援の授業料ローンを組めることなどが保証される。学生局は、2018年7月までに366機関の申請を受け付けており、順次審査を行っている。

※ 学生局は高等教育・研究法(2017年成立)に基づいて、2018年1月に新設された政府外公共機関(Non-Departmental Public Body)。学生局には、これまで複数機関に分散していた高等教育機関に対する規制権限が集約されている。HEFCE(イングランド高等教育財政カウンシル)及びOFFA(高等教育機会均等局)を前身とし、基本的にはイングランド地方を管轄。

新たな高等教育機関登録制度とは?

これまでの登録簿は公的補助を受給する機関のみを対象としてきたが、新たな登録簿はイングランド地方のすべての高等教育機関を一括して管理する。このため、旧登録簿では規制の対象外であった機関も、2018年7月までに18機関が学生局に登録申請をしている。学生局はこうした取り組みによって、高等教育機関の多様性や競争を促し、学生の教育選択を充実させることを目指している。

登録申請の際、高等教育機関は主に、学生に課す授業料の上限を、基準額以上に設定したいかどうかに基づいて、登録カテゴリー(「Approved (fee cap):基準額以上も可」または「Approved:基準額まで」)を選ぶ。なお、登録カテゴリーによって、登録要件が一部異なる。登録されると、以下の表のとおり、公的な補助金や授業料ローンの受給、Tier 4 学生ビザ※1を使った留学生の受入れ、学位授与や「大学」名称の使用ができるようになる(「Approved」は一部制限あり)。

Approved
(fee cap)
Approved
公的な補助金 UKRI※2から補助金を受給できるか
学生局から補助金を受給できるか
Research council fundingを申請できるか
学生支援

(政府支援による授業料ローンの受給)

当該機関に所属する学部生が学生支援を申請できるか

(高額も可)

(基準額まで)

当該機関に所属する大学院生が学生支援を申請できるか
当該機関に所属する学生が障害学生手当を申請できるか
Tier 4学生ビザ Tier 4学生ビザを使った留学生の受入れを内務省(Home Office)に申請できるか
学位授与権・「大学」名称使用権 学位授与権を申請できるか
「大学(universityまたはuniversity college)」名称の使用権を申請できるか

※1 Tier4学生ビザとは、英国に長期滞在する場合に必要となる学生ビザであり、本ビザを取得すると就労(就労できない業種もある)も可能となる。
※2 UKRI(UK Research and Innovation)は高等教育・研究法(2017年成立)に基づき、2018年4月に設置された。研究・イノベーションに関する9機関を統合した機関で、予算配分を行う。

登録方法について

登録にあたって高等教育機関は、学生局に申請フォームと、登録要件に関するエビデンスを提出しなければならない。提出書類やデータに基づく詳細な初期登録審査及び、登録後に要件を満たせなくなるリスクを測るリスクアセスメントが実施され、登録の可否が決定する。

登録要件ついて

下記A~Gの7分野ごとに設置された要件を満たさなくてはならない。どの要件がチェックされるかは、初回の登録の場合や、登録するカテゴリーの種類によって異なる。各要件の詳細については学生局のサイトを参照のこと。

A:社会・経済的事情に左右されない、すべての学生に向けたアクセス及び学習機会の提供
(Access and participation for students from all backgrounds)
B:すべての学生のための質や信頼できる基準、及び高い学習成果
(Quality, reliable standards and positive outcomes for all students)
C:全ての学生の利益保護
(Protecting the interests of all students)
D:財政の持続性
(Financial sustainability)
E:優れたガバナンス
(Good governance)
F:学生への情報提供
(Information for students)
G:授業料とファンディングに関する説明責任
(Accountability for fees and funding)

エビデンスの提出について

登録の際に必要なエビデンスは以下の通り。

  • 要件A1、A2:アクセス・参加プラン(授業料が基準額以上)、アクセス・参加ステートメント(授業料が基準額以下)
  • 要件C1:消費者保護法の順守に関する自己評価書
  • 要件C3:学生保護計画(student protection plan: SPP)
  • 要件E1、E2:マネジメント及びガバナンスに関する自己評価書

※ 「Approved (fee cap)」の高等教育機関が基準額(£6000-£6165/年:TEF(本サイト2017/8/9投稿記事)の判定結果に基づいて決定)以上の高額な授業料を課したい場合には、アクセス・参加プラン(access and participation plan)を作成し、学生局の承認を得なければならない。アクセス・参加プランとは、社会的・経済的にマイノリティな学生の学習機会の質を改善する方法を示した計画。アクセス・参加ステートメント(access and participation statement)は、アクセス・参加プランと異なり、学生局の承認は不要だが、ウェブサイトでの公表は必須。

上記の事項に加えて、新規の高等教育機関(これまで規制の対象外であった機関も含む)は、以下のエビデンスも必要である。

  • 英国高等教育質保証機構(QAA)による質・基準レビューの受審※1
  • 監査済み財務諸表※2、業績予想(financial forecasts)及びコメント

※1 QAAによるレビューは2018年8月以降に開始する予定。そのため、まずその他の要件をすべて満たしているかを審査した後、QAAのレビューを受審することになる。
参考:既存の高等教育機関については、前回の評価結果を利用するため、改めてレビューを受審する必要はない。
※2 3年分提出するのが基本だが、運営年数が3年以下の場合はその年数分。完全に新規の機関は、代替資料(ビジネスプランや財務情報など)を提出する。
参考:既存の高等教育機関については、2017年に提出された監査済み財務諸表、業績予想(financial forecasts)及びコメントを審査に用いるため、改めてエビデンスを提出する必要はない。

高等教育機関が登録要件を満たせなくなったら・・・?

学生局は学生の利益を守るため、当該機関に対して以下のような措置を行う。

登録要件を満たせなくなるリスクがある場合
  • 当該機関への監視を強化する。
  • 当該機関に対して、追加条件を課す。
  • 当該機関の職員と一緒に解決を図る。
登録要件をすでに満たしていない場合
  • 罰金や登録抹消などの制裁措置をとる。
今後について

学生局は現在、学生募集の時期が早く到来する高等教育機関の登録を優先して、審査を進めている。申請機関の登録可否の決定は、2018年9月までにおおよそ完了する予定である。

原典①:学生局(英語)
原典②:学生局(英語)
原典③:学生局(英語)
原典④:学生局(英語)
原典⑤:学生局(英語)

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