米国の大学ランキングを報じているU.S. News & World Report社が大学の学費高騰について報道し、2019年版U.S. News大学ランキングにランクインした米国の有力大学300校について過去20年にわたる年間学費の高騰の状況を明らかにした。
それによると、1998年の水準から私立大学の学費は約2.7倍になっていた。公立大学の学費は、当該大学が所在する州の非居住者に対する学費は3倍になり、更に居住者に対する学費はそれを上回る約3.4倍もの上昇があった。
大学形態(学費の別) | 平均年間学費(単位:米ドル) | 1998年比※ | ||
1998年 | (2009年) | 2019年 | ||
私立大学 | 16,233 | (29,595) | 43,562 | 268% |
公立大学(非居住者) | 8,840 | (17,787) | 26,528 | 300% |
公立大学(居住者) | 3,168 | (6,893) | 10,858 | 342% |
※1998年の年間平均学費に対する2019年の金額比。物価変動は考慮されていない。
米国では、教育費の節約や教育ローンの金額を抑えるため、居住する州内で進学させる家庭も多いとされる。一方で、90年代末から公立大学においてもその州の居住者・非居住者を問わず、学費の著しい高騰がある状況となっている。
学生ローンに関しては、FRB(Federal Reserve Board:連邦準備制度理事会)が2018年9月に公表した消費者ローン残高に関する数値によると、公的及び民間の学生ローン残高は2018年第2四半期時点で1兆5304億ドルを記録しており、米国の自動車ローン残高1兆1243億ドルよりも高い状況が続いており、最も高い住宅ローンに次ぐ規模となっている。これは、米国社会にとっても大きな負担であり、金融機関グループのJPモルガン・チェース会長兼CEOのJamie Dimon氏は2017年冒頭の投資家向け書簡のなかで、米国の成長に著しい影響をもたらす要因のひとつとして学生ローンを挙げている。
原典①:U.S.News & World Report報道(英語)
原典②:FRB(Federal Reserve Board:連邦準備制度理事会)(英語)
原典③:JPモルガン・チェース会長兼CEO書簡(英語)