アジア太平洋地域における国家資格枠組に対する認識は―UNESCOのガイドラインから―

2018年9月、UNESCOはアジア太平洋地域における国家資格枠組(NQF)の発展と強化に関するガイドライン「Guidelines on Developing and Strengthening Qualifications Frameworks in Asia and the Pacific – Building a Culture of Shared Responsibility」を発表した。同報告書の中では、資格枠組の目的や役割といった基本的な事項から、「高等教育の資格の承認に関するアジア太平洋地域規約(東京規約)」※1や、その扱う地域を世界に広げた世界条約の発展的な事例にも触れている。巻末には日本を含むアジア太平洋地域の国家資格枠組の策定・履行状況や需要など、資格枠組に係る動向についてまとめている。

資格枠組の主な役割

  • 期待される学習成果に基づいた学習段階を示す
  • 質保証政策の一部を構成する
  • 教育団体から職業団体に至るまで、多様なセクターを包括し、学習者に複数の学習経路を提供する
  • 様々な学習方法を受容する

資格枠組を発展・実施するための効果的な取組

  • 資格枠組にステークホルダーを関与させて意識を醸成すること
  • 人の移動や雇用を支援するため、ステークホルダー間の信頼を構築すること
  • 高等教育が提供するプログラムの質保証(以下、質保証)や情報共有における透明性と持続可能性を促進すること

ガイドラインの主なポイント

  • 資格枠組は、学習成果の段階やその成果に至るまでの達成方法を示すだけでなく、全てのステークホルダーが資格枠組の発展と実施に関与すべき仕組みとしての役割も有する。雇用主や職業団体といったステークホルダーの関与や視点が欠けると、スキルが誤って理解される恐れがある。
  • 高等教育の質保証や資格枠組はそれぞれ単独では人の移動や雇用を促進することはできない。「自国の資格がアジア太平洋地域の国で承認されること」と、「アジア太平洋地域諸国の資格が自国で承認されること」のいずれの場合においても、国際的な(資格の)承認は、人の移動や雇用を支えるという目的において、高等教育の質保証と資格枠組に依拠している。
  • 資格枠組を参照(referencing)することにより、二国間の資格の相当性(comparability)を探ることが可能になるが、資格枠組は万能ではなく、資格枠組をもって、資格の承認や質保証のプロセスを省略できるわけではない。外国の資格を審査する際には、審査する資格の背景など全体を見なければならない。
  • 「質保証」、「国際的な資格の承認」、「資格枠組」はそれぞれ別々に発展、実施されることが多いが、この3つに統合的に取り組むことにより、上記の3つのうち1つが発展した時に、他の2つも発展が期待できる。特に質保証制度の見直しの際に、資格の承認の側面を無視することは好ましくない。
  • 2019年に採択が期待されている世界条約については、資格の自動認証※2は含まれていない。また世界条約が発効した後も、東京規約は効力を有し続ける。

※1日本は2017年12月に東京規約に締結し、2018年2月に同規約は発効した(本サイト2018/3/15投稿記事)

※2資格の自動認証
資格を保有する志願者が外国等に留学や就職等を行う際に、当該資格や学習成果が個別に審査されることなく、当該国もしくは地域における次の教育段階の学習プログラムに入学することのできる資格を自動的に認めること。例えば、A国とB国が学士の資格に係る自動認証の合意をしている場合、A国の学士は原則として個別審査をすることなく、B国においても学士相当と認められる。

原典:UNESCO(英語)
参考:UNESCO(英語)

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