日本の新しい「国際約束」-2月に発効した「東京規約」が描く、資格が公平に扱われる社会

日本も締結した「東京規約」が2018年2月に発効

締約国は、国内外の高等教育資格を公平に扱う

今後は、国同士の資格の相互認証やデータの電子化が見込まれる

ユネスコのバンコク事務局は、締結国が発効に必要な5か国となったため、「高等教育の資格の承認に関するアジア太平洋地域規約*」が2018年2月1日から発効すると発表した。条文の採択地にちなんで「東京規約」と呼ばれるこの合意文書は、オーストラリア、中国、ニュージーランドに次いで、2017年12月に日本(本サイト2017年12月26日掲載記事)と韓国が締結した。

* Asia-Pacific Regional Convention on the Recognition of Qualifications in Higher Education:原文はこちら。日本語訳はこちら

規約を結んだ国が行うことは?

東京規約は、学生や学者の国際的な移動を容易にするために、2011年に合意された。高等教育資格を使った、国内外からの就職や進学の申請を公平に扱うことを前提とする。例えば、外国資格を国内のものと同等としない場合は、「決定者」から資格保持者に対して拒否する理由が表明される(第3.5条)としている。日本では学生を受け入れる教育機関や、所持資格をもとに採用を行う企業がこの決定者になるとされている。

さらに、外国の資格を評定*する際には、得られた知識や技能に焦点を合わせて審査することが求められている(第3.1条)。これまでの資格の評定場面では、修業年限や履修した科目といったインプットが重視されがちであったが、本規約では明確にアウトプット(知識や技能)を重視する姿勢を示している。
*評定:資格の付与につながった高等教育の課程や機関が適当な水準を充たしているか確認し承認すること

今後は国家間の資格の承認、データの電子化へ

ユネスコは世界各地域で同様の趣旨の条約締結を目指しており、すでに1999年に欧州・北米地域のリスボン認証条約が発効している。また、成果中心の審査による資格の付与は世界的に見られる傾向で、例えば米国では取得単位ではなく学生が身につけた能力をもとに資格を与えるコンピテンスベース教育が注目されている(本サイト2014年10月31日掲載記事)

東京規約が発効したことで、今後は政府レベルでの資格の承認の流れが加速する可能性がある。例えば、欧州のベネルクス三国ではすべての学位が互いの国で同等に扱われている(本サイト2018年2月5日掲載記事)。資格が国家間で承認されれば、個別の審査を省略して、外国で取得した資格も国内の資格と同等の扱いを受ける。アジア太平洋地域でも、2017年に韓国とニュージーランドの両政府が中等教育修了資格を相互に承認している(本サイト2017年4月5日掲載記事) 

人の往来がさらに活発になれば資格を評定する機会も増え、事務的な手続きが煩雑になる懸念がある。この負担を減らすため、学歴や成績データの電子化も世界規模で進展している。オランダが主導するグローニンゲン宣言ネットワークでも、データの安全な国際送受信についての議論が進んでいる(本サイト2017年6月7日掲載記事) 

規約締結がもたらすメッセージ

東京規約は日本の「国際約束」の1つであり、条約と同じ位置づけである。そのため、日本国憲法第98条2項によって、これを「誠実に遵守すること」が必要となってくる。この規約の締結で、日本は国内外の高等教育資格を公平に扱うというメッセージを世界に向けて示したことになる。

原典:ユネスコ(英語)
原典:官報(日本語)
原典:Times Higher Education(英語、購読制限あり)
原典:University World News(英語)
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