大学の国際化を成功に導く9つの道しるべ―EAIE Barometer調査

欧州国際教育協会(EAIE)※1では、欧州各国の高等教育機関における国際化の進捗状況や課題を把握するため、国際業務の実務担当者を対象としたアンケート調査「EAIE Barometer」を2014年及び2018年に実施してきた。この度EAIEは、2018年実施の調査結果を分析し、国際化の取組みを成功に導くための9つの「道しるべ」をまとめた報告書「The EAIE Barometer: Internationalization in Europe (second edition): Signposts of success」を2019年4月に刊行した。

「道しるべ」の基となる2018年Barometer調査の概況
2018年に実施されたBarometer調査は、回答者が所属する機関の国際化戦略・実施体制・質保証・EUや所在国の国際化政策との整合性といった各種の取組状況に加え、自機関の国際化の取組みが過去3年でどの程度進展したか、所在国の他の機関と比較して自機関の国際化がどの程度進んでいるか、国際化の今後の取組みについてどの程度期待しているか、といった設問を通じて各機関における「成功」の概念の把握を試みた。45か国1,292機関の2,317人から回答が得られ、その結果は報告書「The EAIE Barometer: Internationalization in Europe (second edition)」(2018年9月)にまとめられている。

●「道しるべ」はどのように導き出されたか
EAIEは、2018年Barometer調査の回答の中から、(1)所在国の中で平均以上の国際化の取組みを行っている(2)自機関の国際化の将来性に自信がある(3)国際化の現状の取組みが進展している、と回答した者に着目した。このように自機関の国際化が「成功している」と自覚する機関に共通する取組みを、国際化の成功に大きく寄与すると考えられる要素(=「道しるべ」)としてまとめたものである。

9つの「道しるべ」
1. 国際化の目的と大学本来の理念との整合性
国際化の目的が大学本来の理念である「教育・研究」と整合している機関ほど、自機関の国際化の将来性に自信を抱いている。その度合いの高さは、他の目的(金銭的利益など)を有する機関よりも顕著である。
2. 国際化の取組みの積み重ね
国際化の取組実績が多い機関ほど、自機関の国際化が進展していると考えている。経験値の高さが成功の自覚と関係している。
3. 全学的な国際戦略の存在
独立した国際化戦略を全学的に定めている機関ほど、自機関の国際化が進展していると考えている。
4. 取組みの優先順位の明確化
国際化の取組み(自機関学生の送り出し、留学生の確保など)の優先順位を明確にしている機関ほど、自機関の国際化が進展していると考え、その将来性に自信を抱いている。
5. 国際化戦略に関する定期的な評価
国際化戦略をより頻繁(毎年、2年に1回など)に評価している機関ほど、自機関の国際化が進展していると考え、その将来性に自信を抱いている。
6. 優先順位の高い活動に対する金銭的支援の確保
優先順位の高い活動に対して金銭的支援が確保されている機関ほど、自機関の国際化が進展していると考え、その将来性に自信を抱いている。
7. 連携がとれた学内実施体制
学内の複数部署の連携体制が整っている機関は、複数部署が個々に取り組んでいる、あるいはスタッフ個人に業務が任されている機関よりも、自機関の国際化が進展していると考え、その将来性に自信を抱いている。
8. 教職員に対する国際化関連の研修機会
学内の教職員に対する国際化に関する研修機会(留学生受入実務研修、異文化学習、語学研修など)が設けられている機関ほど、自機関の国際化が進展していると考え、その将来性に自信を抱いている。
9. 体系的な質保証の取組み
学内の内部質保証システムが恒常的に機能している機関ほど、自機関の国際化が進展していると考え、その将来性に自信を抱いている。

原典:EAIE(英語)

※1 EAIEは1989年に設立された欧州の国際教育交流団体。高等教育の国際化に関する専門知識の提供、担当者間のネットワーキング等を展開。正式名称はEuropean Association for International Education.
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