アメリカのアクレディテーション制度改革、立ちはだかる3つの難題

アメリカのアクレディテーション制度改革はいつどのように成し遂げられるのか。2017年12月に共産党議員によりプロスパー法案が下院に提出されて議論の口火は切られたが(本サイト2018/1/23投稿記事)、いまだ先行きは見えない。この状況において、米国高等教育アクレディテーション協議会(CHEA)ジュディス・イートン会長が7月8日発刊のCHEA機関誌「QUALITY INTERNATIONAL The Newsletter of the CHEA International Quality Group」の中で、アクレディテーション制度改革を進めるために対処すべき3つの難題について述べている。

高等教育法においてアクレディテーション制度の位置付けや内容を明示できるか

最初の難題は、アメリカの法律が今後どのようにアクレディテーションを取り扱うかということである。アクレディテーションの管理に関する規定を含む連邦法、すなわち高等教育法は、再授権※1の期限をすでに経過しているが、米国議会において下院も上院も通過していない。今回の再授権にあたっては、アクレディテーションに大きなインパクトを与えうる様々な改変の提案がなされている。例えば、学生の達成度に対する政府の特定の質の基準を設定すること、高等教育へのアクセスが増加し、費用面においても選択の幅が広がるにつれて、この影響を受ける高等教育機関やプログラムの財政行動に対するアクレディテーションの権限を増大させること、代替的な教育機関を含めた学生の連邦政府による財政支援への利用可能性を拡大することなどがある。現時点では、これらの教育機関に対処するためにアクレディテーション機関による質の監督が拡大されるかどうかの明確な提示がない。

連邦教育省の責任と役割を明確にできるか

2つ目の難題は、現行の連邦法に求められるアクレディテーションを遂行するために、連邦教育省がどのように責任を果たすのかということである。連邦教育省は“認証(recognition)”、すなわち、アクレディテーション機関が行うアクレディテーションの働きを精査し判断している。同省はまた、2019年より所管の規定に関してレビューを開始しており、現在、この規定はまだ最終的な承認を得ていない※2。この規定のレビューが完了すると、アクレディテーションの位置づけ、連邦政府による学生の財政支援、アクレディテーションの改革の機会、学生の達成度についての期待、そして、学校の閉鎖への対処や、学生保護など、アクレディテーションの政策についていくつかの重要な変化が起こるであろう。

一般国民にアクレディテーションを理解させることができるか

最後の難題は、アクレディテーションをいかに一般国民に理解させていくかということである。一般国民の理解が進むことにより、連邦政府の政策やアクレディテーションに影響が及ぶ。過去5年間、アクレディテーションも高等教育も前例のないほど注目され、批判を受けており国民の信頼は減少している。ここ数年の間、雑誌、ニュース報道、ワシントンのシンクタンク、ソーシャルメディアは、アクレディテーションを激しく批判している。これらは、アクレディテーションは、質の良くない教育を提供し続ける、十分な卒業生を輩出していない、社会にとって必要な働きをする学生を生み出していない教育機関やプログラムを審査しながらも、十分に厳格に行われていないと伝えている。そして、アクレディテーションを通じて透明性を確保し、質が良くない教育機関から、学生を保護する必要があるとしている。すなわち、思いがけない閉鎖に追い込まれ、最後まで学ぶことができない学生を傷つけるような財政難の教育機関を見分けることも必要であると論じている。

イートン会長はまた、この状況について次のようにコメントしている。これらの難題を取り巻く議論の多くは、この変化がより強く効果的なアクレディテーション機関を生み出すという希望、同時にアクレディテーションによる長年の利益が減少することを懸念する声を反映している。これらの難題、希望、懸念は、来たるいつの日かのために我々とともにあるようだ。

※1連邦政府の組織又はプログラムを設立又は継続するための法、すなわち、再授権法において、当該組織やプログラムの活動・適用条件について定め、その予算執行法の制定について授権を行い、予算執行の方法を明らかにしている。再授権を要するものもあれば、要さないものもある。
※2連邦教育省が所管する高等教育に係る諸規定の改正案については、2019年6月12日から7月12日までパブリックコメント募集、11月1日には諸規定の最終版が公表、2020年7月1日に施行する予定である。

原典:CHEA(英語)

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