2019年6月、インドで外国資格の同等性評価を行うインド大学協会(AIU)はオーストラリアのパスウェイ課程(pathway)※1を高等教育の一部として承認した。これまでインドでは、オーストラリアで取得した学士について、3年間すべてを同一の大学で学んだ場合のみインドの学士と同等であるとし、パスウェイ課程経由の学士の同等性を認めていなかった(本サイト2015/9/14投稿記事)※2。インドにおいて学位が承認されない場合、オーストラリアに留学したインド人学生が母国で次の学習段階に進学できないのみならず、公務員になることもできなかった。
2015年7月に、インド人材開発省はインドの資格との同等性を認めていない外国資格に関する委員会を立ち上げ、オーストラリアのパスウェイ課程を含む、複数の外国資格の承認について取り組んできた。一方、オーストラリアはこの問題に関して、7年間にわたってインド政府に働きかけてきた。オーストラリアのDan Tehan教育大臣は、インドの今回の決定は高等教育分野におけるオーストラリアの名声を裏付けるものであるとコメントしている。
今回のインドの決定はパスウェイ課程を経由した学生のみならず、交換留学など複数の機関で単位を取得した学生に対しても効果が及ぶとThe Pie Newsは報じている。ただし、オーストラリア以外の国における複数機関での単位取得によって授与された学士がインドにおいてどのように扱われるについては明らかにはなっていない。
オーストラリア教育省によれば、今回の決定はオーストラリアにいる在学中の留学生に適用されるとのこと。なお、インドからの学生はオーストラリアの高等教育分野での留学生の18%を占め、留学生の中でも2番目に多い。
※1パスウェイ課程:学士課程に入学する前の準備教育課程として位置づけられ、大学で専攻する分野や語学の教育が行われる。パスウェイ課程を修了後、あらかじめ定められた学士課程の単位として認定されることや、2年次への編入が可能な場合もある。
※2POLICIES AND PROCEDURE FOR ACCORDING EQUIVALENCE OF QUALIFICATIONS/ DEGREES INFORMATION BROCHURE, ASSOCIATION OF INDIAN UNIVERSITIES, 16 Comrade Indrajit Gupta Marg, New Delhi 110 002, p23では、パスウェイ課程経由の学士について下記のとおり定めていた。
60. As of now, the AIU does NOT accord Equivalence to such degrees offered by the foreign universities where students are admitted through pathway/diploma level institutions;
原典:オーストラリア教育省(英語)
参考:The Pie News(英語)