2019年7月、中国で全国の学位授与を管理している、国務院学位委員会※から学士の学位授与制度の整備を目的とした、「学士学位授与と授与管理に関するガイドライン(原語:学士学位授权与授予管理办法)」が発表された。中国で学位制度が創設されて以来40年が経過し、その間高等教育が大きな発展を遂げた一方で、学士の学位の質担保、時代の要求に沿った学際的知識や技能を備えた人材育成を可能にする柔軟な学位制度が求められるようになってきていた。
本ガイドラインでは、国務院学位委員会によるマクロ的な政策の策定や指導、省レベルの学位委員会による地域における学士学位授与権の審査と認可、学位授与権の管理制度の整備、大学による学位授与に関する厳格な質保証メカニズムの構築と情報公開の促進、外部質保証制度の導入などによって、学士学位の質の全面的向上を図るとしている。
国務院学位委員会は、従来、修士・博士の学位授与権について定期的な評価を実施しているが、今後学士の学位授与権の質評価もこの学位質保証システムに組み込まれることとなった。
学士学位授与権と学位授与の質保証制度については、省レベルの学位委員会が構築すると定めている。具体的には、最初の学位授与を行った後に「学位の質評価」を実施し、併せて定期的に学位授与機関に対して学位授与の質についてのランダム抽出による検査を実施するとしている。質に問題があるとされた学位授与機関については、行政指導、募集停止、学位授与権のはく奪などの処置が取れるとしている。
※国務院学位委員会は 「中華人民共和国学位条例」に基づき設置され、全国の学位授与の管理とそれに関連する業務を行う機関である。学位を授与する学問分野・専攻のリストの制定、学位条例の実施方法及びそれに関する規則や制度の制定・改定等を行う。事務局は教育部に置かれている。
教育部 (中国語)