SEAMEO教育アジェンダ2015-2035に3つの提言

2019年11月26~28日に第42回東南アジア教育大臣機構高級実務者会議(Southeast Asian Ministers of Education Organization (SEAMEO) High Officials Meeting (HOM))がタイで開催され、SEAMEOの11加盟国、2準加盟国、4準会員、26リージョナルセンターから149名が参加した。

SEAMEOは11のSEAMEO加盟国(ブルネイ・ダルサラーム、カンボジア、ラオス、インド ネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、東ティモール、ベトナム )と東南アジア地域で教育、科学、文化の地域協力を促し、人々の潜在能力を向上し可能性を最大限に伸ばすことを通じて、教育、予防・健康教育、文化、情報・通信技術、言語、貧困対策、農業、自然資源といった分野の質と公平性を促進する目的がある。本会議では第4回教育大臣戦略対話(Strategic Dialogue of Education Ministers:SDEM)の提言書が報告され、「SEAMEO教育アジェンダ2015-2035」における重点課題7項目の進捗を踏まえて、3つの領域について東南アジア地域のSEAMEO加盟国間の協力を強化し、重点を置くようにSDEMが提言したことが紹介された。

SEAMEO教育アジェンダ2015-2035と重点課題7項目

「SEAMEO教育アジェンダ2015-2035」は、東南アジアにおいて2015年以降の教育分野のシナリオと課題を踏まえて以下の7つの優先的に取り組む課題をまとめたもの。2014年のSDEMなどの諸会議で承認された。この場には、アジア開発銀行(ADB)、ユネスコ、ASEAN事務局もオブザーバーとして参加した。
  1. 保育と幼児教育
  2. インクルージョンのバリアに対する対策
  3. 緊急時の回復力を保証
  4. 職業教育の推進
  5. 教員人材育成の活性化
  6. 高等教育と研究の調和の推進
  7. 21世紀型カリキュラムの採用

SDEMの3つの提言

  1. イノベーションを原動力とした新たな教育・学習方法へ導く包括的な学習プログラムを推進し、次世代の教員や生涯学習者にデジタル技術を利用する能力を与えること。
  2. 情報格差の解消に向けたポリシー環境を提供するとともに、SEAMEOセンターの研究開発のイニシアティブを活用してポリシーを策定することにより、デジタルトランスフォーメーション※1をより体系的に実施し、デジタル時代にふさわしい教育学を適切に推進すること。
  3. 科学技術を用いた現在の教育スキルを超える新しい学習方法、教育方法を導くアイディアの誕生及び推進を促す革新的なSEAMEO教育エコシステムに繋がる協力関係や提携関係を推進すること。

更に本提言書は、この3つの提言をSEAMEOの5か年戦略方針 (Strategic Direction) 2021-2025に反映させるとともに、SEAMEO傘下のリージョナルセンターの年度開発計画(Centres Fiscal year Development plans)に示すことで、SEAMEOのリージョナルセンター等が今後10年間で具体的に実行していくことを推奨している。

※1ITの浸透により人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化する」という概念。2004年にスウェーデンの大学教授が提唱。

原典:SEAMEO(1)(2)(3)

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