中国:修士課程等の募集定員増、第二学士学位制度存続へ―コロナ禍の卒業生の進路確保対策

 新型コロナウイルス流行の影響により、就職や留学が困難となっている状況のもと、中国国内の高等教育機関の卒業生の進路確保の一環として、中国教育部は2020年の修士課程と学士課程(Top-up*1)募集定員をそれぞれ18万9千人と32万2千人、合わせて51万1千人拡大すると発表した*2

このほか、2019年7月に国務院学位委員会から廃止が発表されていた(本サイト2019年9月24日掲載記事)、学士課程の卒業生を募集対象とした第二学士学位*3について、廃止の方針から一転して存続させる方針が示された。教育部は重点分野として、公衆衛生と予防医学、ビッグデータ、ネットワークセキュリティー、エネルギー、生物と医薬、介護、家政サービスなどニーズの高いものを挙げている。これにより、卒業後の進路の選択肢の一つが温存されることとなった。

*1Top-upとは一部の高等教育機関で設置されている2年制の学士課程[专起本/专升本]を指す。中国の大学には学部課程(4~5年)と専科課程(2~3年)があり、Top-upは、専科課程の卒業生を入学対象としている。規定の成績を収めれば卒業証書が授与され、さらに一定の条件を満たせば学士号が授与される。

*2修士課程についてみると、2019年度の募集定員約81万人(2020年6月発表の教育統計)に対して約23%増となる。

*3学士課程後の教育として提供されてきた「第二学士学位」の制度は、文化大革命後の1980年代の中国において急速に現代化を推進するにあたり、必要とされる高度な専門人材育成を目標とし、当時脆弱であった大学院教育の体制を補うためのものとして実施されてきたが、近年大学院教育の充実に伴いその役割を終えたとして、2022年までに廃止されることが決まっていた。

原典①: 教育部(中国語)
原典②: 教育部(中国語)

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