台湾教育部による産学連携博士人材育成事業(産博計画)

台湾教育部は、2014年より、産学連携による博士人材育成のための補助金制度(原語:教育部補助大學校院產學合作培育博士級研發人才計畫)(略称:産博計画)を実施している。この制度は、学術理論とその応用の差を縮めるとともに、企業による博士号取得者の採用を促進することを目的としている。

育成モデルは修学期間等の異なる3種類があり(1.育成方法)、学生は大学での学修と2年間の企業での研究開発に従事しながら博士号の取得を目指す。対象分野は、人文社会学、生物医療学、経営学、電機情報工学、理工学及び政府推奨分野(物流ネットワーク、生物医療産業、グリーンエネルギー技術、機械知能、防衛産業、新農業※1、循環経済、金融技術)となっている。研究テーマは、学生が決める従来の形式の他、2021年度からは、企業が設定したテーマに学生が参加する形式も導入されている。

本制度において、大学は、研究開発力の高い企業と産学連携契約を結び、計画書を教育部に提出する。教育部は、審査を経て採択された大学に補助金を交付する。補助金は学生への奨学金と計画実行費用で構成され、それぞれについて企業、大学も資金を提供する。(3.産博計画予算の内訳)。2022年度の補助金は、29校の78計画、444名の学生を対象に、学生への奨学金として総額8,800万台湾ドル(約3億8,720万円)、計画実行費用として総額1,135万台湾ドル(約4,994万円)であり、企業と大学による資金提供額は5,000万台湾ドル(約2億2,000万円)以上だった※2

なお、本制度の事務局は台湾の工学・技術系プログラムの評価機関である中華工程教育学会(The Institute of Engineering Education Taiwan: IEET)が担当しており、募集・申請受付等を行う。

※1 新農業:農業従事者への保障、農産物の安全、農産業の発展に関する分野。
※2 1台湾ドル約=約4.4円(2022年6月6日時点)

制度概要

1.育成方法

「修士・博士5年一貫モデル」、「博士4年モデル」、「産業課題解決型4年モデル」の3つの育成モデルがある。大学は、育成モデルを選んで申請する。

①修士・博士5年一貫モデル:

・入学1年後に博士課程へ進む。博士課程の1~2年次は大学で科目を履修し、3~4年次は学生自身が設定した課題に関し企業で研究開発に携わりながら博士論文を完成させ、5年間で博士号を取得する。
・対象分野:人文社会学、生物医療学、経営学、電機情報工学、理工学および政府推奨分野(物流ネットワーク、生物医療産業、グリーンエネルギー技術、機械知能、防衛産業、新農業、循環経済、金融技術)

②博士4年モデル

・博士課程の1~2年次は大学で科目を履修し、3~4年次は学生自身が設定した課題に関し企業で研究開発に携わりながら博士論文を完成させ、4年間で博士号を取得する。
・対象分野:①と同じ。

③産業課題解決型4年モデル(2021年度開始)

・教育部が、企業の提示する研究テーマと台湾にとってニーズの高いテーマを取りまとめ て、研究課題を指定し、大学は当該テーマにふさわしい博士課程の学生を選出する。学生は大学での学修と企業での研究開発に携わりながら博士論文を完成させ、4年間で博士の学位を取得する。
・対象分野:政府推奨分野(内容は上記①と同じ)。2022年度は、これらの分野から17テーマが選出された。

2.産博計画書の審査のポイント

・全体計画(産学連携による博士人材育成の目標、資源投入、実施計画、達成指標(質的・量的))
・学生選出方法と学修成果の評価方法
・教員の参加計画
・産学連携メカニズム(企業の資金提供、共同指導モデル、研究成果の協議体制等)
・大学全体の管理体制(計画終了後の継続計画、知的財産運用計画等)
・産学連携による博士人材育成に期待される成果
・産業課題解決モデルを申請する場合、産業協力研究枠組と実施計画、技術知財移転、卒業後の産業界とのつながり

3.産博計画予算の内訳

①学生への奨学金

・学生1人につき20万台湾ドル(約88万円)/年を教育部補助金から負担。
・加えて、大学と企業から教育部の補助金額の50%以上の額を奨学金として負担。そのうち70%以上を企業側が負担。

②計画実行費用

・1計画につき上限100万台湾ドル(440万円)/年を教育部補助金から負担。
・加えて、企業から、教育部補助金の20%以上の額を計画実行費用として負担。

4.成果報告

大学は、産博計画の実施期間中、計画の実施状況に関する中間報告書を教育部に毎年提出する。教育部は報告書の内容を審査し、必要に応じて現地訪問・評価の上、次年度の補助金交付を決定する。実施状況に問題が見られた場合には、補助金の減額や支給停止の措置がとられる。また、計画期間終了後2カ月以内に、大学は成果報告書を提出する。

原典①教育部補助大學校院產學合作培育博士級研發人才計畫專案辦公室 產博計畫作業要點(中国語)※リンクの一番下よりダウンロード可能
原典②HEEACT翻轉高階研發人才培育:教育部補助大學校院產學合作培育博士級研發人才計畫(中国語)




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