正式名称 | Bologna Declaration |
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策定主体 | 欧州高等教育大臣会合 |
策定(実施)年 | 1999年 |
概略 | 1999年6月19日にイタリアのボローニャで、欧州29か国の高等教育担当大臣が調印した宣言。2010年までの欧州高等教育圏(European Higher Education Area: EHEA)の確立に向けて、主に以下の課題の達成に努力することで各国の大臣が署名した。なお、「ボローニャ・プロセス」とは、本宣言から始まった欧州における高等教育システムの改革に関する、一連の流れを指す。 <ボローニャ宣言の要旨>
本宣言で提唱されたプロセス達成に向けて、2001年から2年ごとに大臣会合を開催。改革内容の進捗プロセスの把握や活動方針の追加が行われ、会議ごとに共同声明(コミュニケ)が発表されている。2009年からは大臣会合と合わせて、ボローニャ参加国と日本を含むその他の国との高等教育における国際連携に関する議論とパートナーシップ構築の場となることを目指した、ボローニャ政策フォーラム(Bologna Policy Forum)が開催されている。 ※なお、ボローニャ・プロセスの関連文書(これまでに開催された会合の声明等)は、以下のリンク先(EHEAウェブサイト)で閲覧することができます。 |
リンク | https://pjp-eu.coe.int/bih-higher-education/bologna-process.html ![]() |
正式名称 | Towards the European Higher Education Area – Prague Communique |
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策定主体 | 欧州高等教育大臣会合(プラハ会合) |
策定(実施)年 | 2001年 |
概略 | 2001年、プラハに欧州の高等教育大臣が集まり、1999年のボローニャ宣言以降の進捗を確認し、次の会合までの2年間の方針や優先事項について協議を行い、採択された内容がプラハ・コミュニケとして発表された。本会合において、キプロス、クロアチア、トルコ、リヒテンシュタインの4か国が新たにボローニャ・プロセスに署名し、参加国は33に拡大した。 プラハ・コミュニケでは、ボローニャ・プロセスに以下の項目が新規に追加された。
質保証については、質保証ネットワーク間の相互協力と、教育の質の確保と学位・資格の通用性促進に質保証が果たす意義が謳われ、質保証に関する欧州共通の参照枠組みの構築と優良事例の共有にむけて、高等教育機関、各国質保証機関、ENQA(欧州高等教育質保証協会)等が協力していくことが提言された。 (※1)ESIBは、現在のEuropean Students Union: ESU(欧州学生ユニオン)の前身 (※2)ボローニャ・フォローアップ・グループは、ボローニャ・プロセス参加国の代表及び欧州委員会で構成。EU議長がチェアを務める。ボローニャ・プロセスにおける質保証、学位・資格の認証、単位互換、ジョイント・ディグリーの策定、流動性(モビリティ)、ボローニャ・プロセスの拡大、生涯学習、学生参加等のテーマに関するセミナーの企画・立案を主な任務とする。 |
リンク | https://pjp-eu.coe.int/bih-higher-education/bologna-process.html ![]() |
正式名称 | Realising the European Higher Education Area – Berlin Communique |
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策定主体 | 欧州高等教育大臣会合(ベルリン会合) |
策定(実施)年 | 2003年 |
概略 | 欧州の高等教育担当大臣レベルで合意した声明。ボローニャ宣言を再確認したうえで、2005年までに各国が導入にむけて努力することで、質保証システムの構築を含む事項が新たに提案され、ベルリン・コミュニケとして発表。旧ユーゴスラヴィア諸国を含む40か国が署名した。 <ベルリン・コミュニケの主な内容> ◇ 質保証 質保証の共通基準・方法論構築の必要性、機関自身による内部質保証の重要性(各機関が持つ自治・自律の原則に基づき、質保証に関する最終的な責任は機関自身にあること)を強調。各国の質保証システムは、2005年までに以下の実施にむけて努力する。
欧州レベルの質保証については、ENQA(欧州高等教育質保証協会)に対し、EUA(欧州大学協会)等との連携により、質保証に関する欧州基準、手続き、ガイドラインの開発及び適切なピア・レビューシステムとアクレディテーション機関の確保を進め、2005年の教育大臣会合で進捗の報告を要求した。 ◇ 学位構造
◇学生・教職員流動化(モビリティ)の推進 ◇単位制度の構築
◇学位の認定
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リンク | https://pjp-eu.coe.int/bih-higher-education/bologna-process.html ![]() |
ベルゲン・コミュニケ「欧州高等教育圏構築の目標達成に向けて」
正式名称 | The European Higher Education Area – Achieving the Goals |
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策定主体 | 欧州高等教育大臣会合(ベルゲン会合) |
策定(実施)年 | 2005年 |
概略 | 2005年5月に、ノルウェーのベルゲンで開催された高等教育大臣会合で採択された宣言。本会合で、新たにアルメニア、アゼルバイジャン、グルジア、モルドバ、ウクライナの5か国がボローニャ・プロセスに加盟し、参加国は45に拡大した。 ボローニャ・プロセスのパートナーとしての高等教育機関、教職員、学生の重要性を再確認するとともに、雇用者を含む全ての高等教育利害関係者からの支援がボローニャ・プロセスの目標達成に不可欠であることが強調されている。また、博士プログラムにおける研究活動の促進、質の高い高等教育への参加機会の拡充、ボローニャ・プロセスの国際化を視野に入れた欧州外の地域との交流等が重点事項として掲げられている。 質保証に関する内容は以下のとおり。
(※1)EUA(欧州大学協会)、EURASHE(欧州高等教育機関協会)、ESIB(欧州全国大学連盟)。この3機関は、Council of Europe(欧州評議会)とともに2001年のプラハ会合において、ボローニャ・フォローアップ・グループの諮問メンバーとして参加することが合意された。 (※2)UNICEは、2007年1月23日付けで、BUSINESSEUROPEに名称変更。 |
リンク | https://pjp-eu.coe.int/bih-higher-education/bologna-process.html ![]() |
ロンドン・コミュニケ「グローバル環境における欧州高等教育圏」
正式名称 | Towards the European Higher Education Area: responding to challenges in a globalised world ? London Communique |
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策定主体 | 欧州高等教育大臣会合(ロンドン会合) |
策定(実施)年 | 2007年 |
概略 | 2007年5月にロンドンで開催された大臣会合で採択された宣言。本会合では、欧州高等教育圏(European Higher Education Area: EHEA)への参加国は46に拡大した。ボローニャ・プロセスが進み、欧州以外の地域への影響が進むなか、他地域との協力がボローニャの協議事項になりつつあることが謳われている。 <ボローニャ参加国と他地域との協力にかかる内容>
以上を確認したうえで、2009年までの取組みの優先事項として、流動性(学生・教員の流動性促進、流動性を測る方法の開発)、社会における高等教育の役割、データ収集、卒業生の就業力(employability)、グローバル環境における欧州高等教育圏、進捗の現状把握が設定された。また、2010年以降は、EHEAにかかる国際連携の強化を優先して行うことが合意された。 |
リンク | https://pjp-eu.coe.int/bih-higher-education/bologna-process.html ![]() |
ルーヴァン・コミュニケ「ボローニャ・プロセス2020年:欧州高等教育圏の新たな10年」
正式名称 | The Bologna Process 2020 – The European Higher Education Area in the new decade |
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策定主体 | 欧州高等教育大臣会合(ルーヴェン/ルーヴァン=ラ・ヌーヴ会合) |
策定(実施)年 | 2009年 |
概略 | 欧州の高等教育大臣レベルで、ボローニャ・プロセスの進捗を確認・評価し、2010年以降も主に以下の実現に向けて引き続き欧州・国・機関レベルで取り組むことで合意した声明。46か国が署名した。 <ルーヴァン・コミュニケの主な内容>
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リンク | _ |
正式名称 | Budapest-Vienna Declaration on the European Higher Education Area |
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策定主体 | 欧州高等教育大臣会合 |
策定(実施)年 | 2010年 |
概略 | 2010年3月11日から12日にかけて、ブダペストおよびウィーンで行われた大臣会合で合意した声明。ボローニャ宣言から10年が経過した記念すべき会合で、欧州高等教育圏(European Higher Education Area: EHEA)の構築が宣言された。 本会合では、ボローニャ・プロセスが確実に前進して成果をあげてきているとしつつ、高等教育機関の現場(教職員と学生)からの声を更に反映して改革を進めることが必要である旨、共通認識を持った。 また、ルーヴァン・コミュニケ(2009年)で合意した事項を進め、学生を中心に置いた学習環境を推進することで合意した。 今回新たにカザフスタンが加わり、EHEAへの参加国は47となった。(EHEAについては、1999年のボローニャ宣言で2010年の確立に向けて課題の達成に努力することで29か国の高等教育大臣が署名した) |
リンク | https://www.edu.ro/sites/default/files/u39/Budapest-Vienna%202010.pdf ![]() |
ブカレスト・コミュニケ「欧州の可能性への期待と欧州高等教育圏の強化にむけて」
正式名称 | Making the Most of Our Potential: Consolidating the European Higher Education Area ? Bucharest Communique |
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策定主体 | 欧州高等教育大臣会合(ブカレスト会合) |
策定(実施)年 | 2012年 |
概略 | 2012年4月26日から27日にかけて、ルーマニアのブカレストで開催された、ボローニャ・プロセスに関する第8回大臣会合で合意された宣言。すべての学生に質の高い教育を提供することが、ボローニャ・プロセスの最大の目標である旨、再確認され、欧州高等教育圏(EHEA)構築に向けたプロセスの最初の10年の進捗を評価しつつも、次の10年(~2020年)に向け、今後優先して取り組むべき課題(質の高い教育の提供、学生の就業力の向上、より質の高い学習のための流動性(モビリティ)の強化)を打ち出した。 また、本会合では、EHEAにおける流動性(モビリティ)に関する戦略(Mobility Strategy 2020 for the European Higher Education Area (EHEA): Mobility for Better Learning)も打ち出され、2020年までに、欧州の学生の20%のモビリティを達成するという目標が掲げられ、これに向けて取り組むべき内容が示された。 <ブカレスト・コミュニケの主な内容>
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リンク | http://www.ehea.info/Upload/document/ministerial_declarations/Bucharest_Communique_2012_610673.pdf ![]() |
正式名称 | Yerevan Communique |
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策定主体 | 欧州高等教育大臣会合(エレバン会合) |
策定(実施)年 | 2015年 |
概略 | 2015年5月14日から5月15日にかけて、アルメニアのエレバンにて開催された、EHEA(欧州高等教育圏)大臣会合において採択された宣言。47か国の代表者が欧州地域の高等教育統合に向けた取り組みにおける2020年までの方向性について協議し、またこれまでのボローニャプロセスを振り返り、具体的な取組み内容の見直しの必要性を明らかにした。 <エレバン・コミュニケの主な内容>
<4つの課題>
次回会合は、2018年にフランスのパリで行われる予定となっている。 *インクルーシブ:ユネスコの定義によれば、全ての学生が基礎的な学習ニーズを満たす平等な教育にアクセスすることができ、生活を豊かにすることができる状態のことである。 |
リンク | https://uluslararasi.yok.gov.tr/Documents/Uluslararasilasma/erivan_bildirgesi_2015.pdf ![]() |
正式名称 | Paris Communiqué |
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策定主体 | 欧州高等教育大臣会合(パリ会合) |
策定(実施)年 | 2018年 |
概略 | 2018年5月24日~25日にかけて、フランス・パリにおいて開催された、European Higher Education Area (EHEA)(欧州高等教育圏)大臣会合において採択された宣言。48カ国の代表者が本宣言に署名した。各国代表者は、2020年までの欧州地域の高等教育統合に向けた取組*の進展を評価する一方、今後さらに欧州で取り組むべき事項について協議し、共同声明(コミュニケ)及び関連文書をとりまとめた。共同声明においては、欧州で失業、社会的格差の広がり、移民・難民の問題、テロ、右傾化の動き等の社会問題が広がるなか、問題解決に向けた高等教育の社会的役割について強調された。 * 欧州の学生移動を促進するための学位システムの共通化や欧州共通的な単位互換制度の構築等、欧州の高等教育改革に係る取組。改革に関する一連の流れを「ボローニャ・プロセス」と呼ぶ。<パリ・コミュニケの主な内容>
次回の欧州高等教育大臣会合は、2020年6月にイタリア・ローマで行われる予定となっている。 ** インクルーシブ:すべての学生が基礎的な学習ニーズを満たす平等な教育にアクセスすることができ、生活を豊かにすることができる状態。(UNESCOの定義より) パリ・コミュニケの内容の詳細については、こちら(機構国際連携ウェブページQA UPDATES 2018/6/19投稿記事)。 |
リンク | https://www.diplomatie.gouv.fr/en/french-foreign-policy/europe/news/article/european-higher-education-area-ehea-ministerial-conference-paris-communique-25 ![]() |
正式名称 | Rome Communiqué |
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策定主体 | 欧州高等教育大臣会合(ローマ会合) |
策定(実施)年 | 2020年 |
概略 | 2020年11月19日に開催された、European Higher Education Area (EHEA、欧州高等教育圏)大臣会合において採択された宣言。本会合はオンラインで開催され、49カ国の代表者が参加した。本宣言では、今後10年間の政策の指針として、コロナ禍においても全ての学生が質の高い高等教育を受けられるようにすること、高等教育機関が社会問題の解決に取り組めるように適切な支援を行うこと、そしてこれらの実現のためにEHEA内でより効果的に連携し、緊密に対話を行うこと等が示された。 <ローマ・コミュニケの主な内容> ●EHEAのビジョン: EHEAは学生、教職員及び卒業者がそれぞれ修学、教育及び研究を行うための自由な移動が保証された圏域となる。 →ビジョンの実現のために2030年までにインクルーシブ(inclusive)で革新的(innovative)かつ相互接続された(interconnected)EHEAとなるよう取り組んでいく。
このほかに前回(2018年)の会合で採択された今後注力する3つの取組(Key Commitments)について、これらの取組が着実に実施されており、引き続き取り組んでいくことが確認された。 ①資格枠組と欧州単位互換制度(ECTS) ②リスボン規約とディプロマサプリメント ③欧州高等教育圏における質保証の基準とガイドライン(ESG)に基づく質保証 次回の欧州高等教育大臣会合は、2024年にアルバニアで行われる予定となっている。 ローマ・コミュニケの内容の詳細については、こちら(機構国際連携ウェブページQA UPDATES 2021/1/8投稿記事)。 |
リンク | http://www.ehea.info/Upload/Rome_Ministerial_Communique.pdf ![]() |