オバマ政権は、連邦奨学金受給者の債務不履行を防止するため、職業訓練系の大学(career college)が提供する教育プログラムの連邦奨学金受給要件の改正案を、連邦教育省を通じて2014年3月14日に発表した。
改正案では、以下に記す3つの項目を充たさない教育プログラムは、連邦奨学金受給資格を失うものとなっている。これは、質の低い教育を受けた学生が、自身の奨学金返済が可能な職に就けず債務不履行となり、結果として米国財政が悪化しているという社会からの批判に応えたもの。2013年を通じて行われた公聴会の内容をもとに作成されている。
教育省の発表では、特に営利大学においてこの問題が深刻であるとしている。営利大学の学生は、米国の全大学生の13%程度にもかかわらず、連邦奨学金受給者は31%、債務不履行者は全体の約半数に上る。また、多くの営利大学の収入は、その9割が税金によるものとしている。
一方、米国議会からは共和党を中心にこの改正案への批判の声が挙がっている。営利大学協会長も務めるGunderson共和党議員は、営利大学は低所得者、退役軍人、シングルペアレント、高齢者にとっての大切な教育提供者であると主張している。
60日間のパブリックコメント募集期間が終了次第、集まった意見を反映させ、修正案が作成されることとなっている。
連邦教育省発表案
- 1. 適切なアクレディテーション、および州または連邦政府の認可を受けた機関もしくはプログラムであること
- 2. 以下のA、B両方をみたすこと
- A:プログラム修了者の収入に占める債務の割合(aD/E: annual debt-to-earnings)または可処分所得に占める債務の割合(dD/E: discretionary debt-to-earnings) について、下記①と②の要件に該当しない。
①直近3年間のうち2年が”FAIL”のステータス または、
②直近4年間のうちに”PASS”ステータスがないステータス要件 ステータス aD/E dD/E PASS =< 8% =< 20% ZONE 8% < aD/E =< 12% 20% < dD/E =< 30% - B:奨学金受給者の債務不履行率について3年連続”FAIL”ステータスでない
ステータス要件 PASS: < 30% FAIL: 30% =<
- A:プログラム修了者の収入に占める債務の割合(aD/E: annual debt-to-earnings)または可処分所得に占める債務の割合(dD/E: discretionary debt-to-earnings) について、下記①と②の要件に該当しない。
- 3. 教育プログラムの成果を社会に公表する。具体的には、大学(プログラム)の収支、債務、債務不履行率、卒業率などが含まれる。