高等教育・研究の方向付けに関する法律の進捗状況について

原典:フランス政府(フランス語)

国民教育・高等教育・研究省は2014年7月23日、「高等教育・研究の方向付けに関する法律」の進捗状況を発表した。この法律は、 2013年3月に法案が閣議提出された(本サイト2013/5/22投稿記事)後に、2013年7月22日に制定され、フランス国内の大学における外国語授業の解禁(本サイト2013/7/4投稿記事)や、AERESの閉鎖等が規定されていた。今回、同省が発表した進捗状況は大きく「学生」「大学」「研究」のカテゴリーに分けられ、「完了」と「未完」の状況が発表された。進捗状況の概要は以下の通りである。

【学生について】

実施項目 内容 進捗
学生にかかる志向性
(バカロレア取得前3年間と取得後3年間)
説明なし 完了
STSとBTUへの進学率の向上
  • STS(高等技術者課程)への進学率は前年比+8%(2013年)
  • BTU(技術短期大学)への進学率は前年比+3%(2013年)
完了
学士号の再編
(称号の簡素化、漸次専門化、教育改革)
  • 学士号の新たな枠組みの策定(2013.12)
  • 1,800種のディプロマと320の称号を45の学士号に整理
  • 1,844の職業学士号を173に整理
  • 2014年から2015年の予算による、教育の漸次専門化
完了
学生の成功のためのデジタルプラットフォームの整備
  • フランス・デジタル・ユニバーシティ設立のアクション・プランを策定(2013.10)
  • フランスのMOOCのプラットフォーム:FUN(France Université Numérique)を公開(2014.1)
完了
大学の課程(特に学士課程)におけるインターンシップの拡充 インターンシップコース開設の法的手続きの緩和(2014.7) 完了
上位10%の学生の選択的課程への進学の推奨 説明なし 完了
高等学校と高等教育の接続 高等学校と、大学・グランドゼコール準備学級・高等技術者課程間での協定(2015年発効) 完了
多様な学生の医学部への進学、また医学部生の他学部への移動を容易化 7大学による医療系教育課程(PACES)の設立 完了
学生のモビリティの拡大(特に職業・技術分野) エラスムス+において、職業・技術分野における30%の拡大 完了
職業教育の推進
(2020年までに規模を2倍とし、卒業率を向上させる)
雇用促進委員会の設置 未完

その他法律規定事項

  • 学生の奨学金を拡充(2013年から2015年で約4億5,800万ユーロ)
  • 学生の住居支援(43,000件の住居支援を2018年1月まで)
  • 学生のローンの拡充

【大学について】

実施項目 内容 進捗
大学に「教員養成・高等教育のための高等教育機関」を設置 説明なし 完了
外国人留学生・研究者の拡充
  • 居住許可の簡素化
  • 海外学生の卒業後のフランスでの就労の促進
完了
男女平等の状況の公表 全ての公的機関にて男女比を公表 完了
外国語による授業の合法化 説明なし 完了
ガバナンスの強化 理事会等のメンバーへの投票の実施 完了
高等教育国家戦略(StraNES)の策定 最終報告書を提出(2014.7) 未完
国民教育・高等教育・研究省と全ての高等教育の提携 説明なし 未完
国際化の推進のために大学間での連携を促進 大学・学校共同体(COMUE)の設立、25グループへの再編 未完

【研究について】

実施項目 内容 進捗
研究に関する戦略会議の創設 戦略会議は首相と高等教育・研究大臣の下に置かれる。 完了
研究と起業の促進 研究と知識移転に関する指令(2014.2) 完了
学生の起業の支援を行うセンター(PEPITE)の創設 完了
知的財産制度の簡略化 未完
研究政策(SNR)の策定 フランスの研究の優先事項を反映したEUによる研究助成プログラムであるHorizon2020に沿って行う 未完
博士号保有の高級官僚の増加 企業における博士号取得者のスキル、給与の点での優遇を推進 未完
評価制度の簡略化 研究・高等教育評価機構(AERES)を廃止し、研究・高等教育評価高等審議会(HCERES)へと移管 未完
※上表は、原典をもとに評価事業部国際課にて作成
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