原典:欧州委員会(英語)
報告書:National Student Fee and Support Systems in European Higher Education 2014-2015(英語)
2014年10月17日、EURYDICE network※1は、報告書「欧州の高等教育における各国の学費と財政支援2014-2015」(National Student Fee and Support Systems in European Higher Education 2014-2015)を発表した。本報告書は、公立の高等教育機関における、欧州各国の公的な学費(Fees)と、奨学金(Grant)・ローン(Loan)※2より成る学生への財政支援(Support System)についての情報を掲載しており、毎年刊行されている。本報告書がカバーするのは、第1サイクル(学士課程)・第2サイクル(修士課程)であり、博士課程は対象としていない。また、対象となる学生は、フルタイム・パートタイムどちらも含むが、住居・交通・食堂にかかる経費は調査の対象外である。
※2 奨学金(Grant)は、学生に給付される奨学金で返済義務は存在しないが、ローン(Loan)には返済義務が付随する。
報告書の構成
報告書の内容
- 欧州全体の情報(key points)
5項目(学生による学費の負担割合、学費の金額、奨学金給付の要件、奨学金を受給する学生の割合、奨学金の上限)が記載されている。 - 各国の情報
図表、学費、財政支援制度、変更の予定の4項目より成る。
図表

学費
財政支援
変更の予定
各データは、おおむね2014年度のものである。ただし、学費を支払う学生の割合・奨学金を受給する学生の割合については、2012年度のデータを使用している。
全体的な動向 ※報告書を基にECが発表
学費について
- 近年学費を廃止した国:ドイツのみ
- 学生に学費を課さない国:キプロス、デンマーク、マルタ、フィンランド、スウェーデン、英国(スコットランド)、ノルウェー、トルコ
- 規定された数以上の単位の取得が学費免除の要件となる国:エストニア、チェコ、スペイン、クロアチア、ハンガリー、オーストリア、ポーランド、スロヴァキア
- 全ての学生に学費を課す国:チェコ、オランダ、ポルトガル、スロヴァキア、英国(イングランド、ウェールズ及び北アイルランド)、アイスランド、リヒテンシュタイン
- 学費が高額な国:アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ハンガリー、オランダ、スロヴェニア
- 最も学費が高い国:英国(イングランド)
奨学金関係
- 全ての学生に奨学金を支給:キプロス、デンマーク、マルタ、フィンランド
- 多くの学生に奨学金を支給:ルクセンブルグ、オランダ、英国(スコットランド)、スウェーデン、ノルウェー
- 奨学金を支給しない国:アイルランドのみ(現在制度創設に向け、議論中)
- 奨学金が本人・家族の所得に基づく国(need-based):35の国・地域※3
- 奨学金が学業成績に基づく国(merit-based):23の国・地域
- ローン制度の利用率が高い国:約半数
- 家族への給付制度を設ける国:約半数