カーネギー単位の代替候補示せずーカーネギー財団報告書

原典①:カーネギー財団(英語)
原典②:Inside Higher Ed(英語)
報告書:The Carnegie Unit – A Century-old Standard in A Changing Education Landscape(英語)

カーネギー財団は、2012年12月より行なってきたカーネギー単位の見直しを目的としたプロジェクトの報告書をまとめ、現行の単位制度は見直しは必要だが、すぐに取って替わられるものはないとの結論を示した。このプロジェクトは、米国の初中高等教育すべてを対象に、学生のパフォーマンスをより明確に表し、多様な学生群へ対応した教育デザインを可能にし、教育をより廉価で身近にすることができる、カーネギー単位に替わる概念の提起が焦点となっていた。

カーネギー単位とは、教育提供者との120時間の接触を1単位とする定義から成り立っており、これは、1つの科目を毎日1時間ずつ、週5日、年に24週受講するという計算に基いている。米国ハイスクールの学生は、一般的に毎年6-7つのカーネギー単位を取得している。対して、高等教育機関では、学生は単位時間(credit hour)を取得する。単位時間は、カーネギー単位の考えを基に、学期あたりに教員と接触する時間数(contact hour)を週平均で換算する。例えば、3単位(時間)が取得できる科目の場合、毎週3時間の授業を1学期15週にわたって開講することになる。このような概念のもと、学期ごとにフルタイム学生の基本的な履修量である15単位(時間)を取得し、前後期併せて30単位を取得することになるので、4年間での学士号取得には120単位を取得しているということになる。

調査によると、学生が教室で過ごした時間を基に算出するカーネギー単位では、学生一人ひとりの長短所分析がおろそかになり、結果として学習の質が分かりにくくなっていた。さらに、画一的な教授法がよしとされるため、教育デザインの多様化の阻害要因にもなっていた。特に、高等教育において、連邦教育省が奨学金受給要件としてこの単位を学生の学習測定の基準としていることで、柔軟な教育提供の足かせとなっている、と報告書は指摘した。そのため、社会への説明責任を果たすアクレディテーションなどの制度は、これまで以上に学生の学習に関して詳細な情報を追及するべきだとした。

一方、学生の学習測定はカーネギー単位の本来の目的ではなく、明確な基準を持った試験や論文などに委ねられるべきだ、と報告書は指摘した。その上で、この単位制度をいきなり廃止することが与える悪影響は大きすぎるとし、替わりに導入する制度は全国的な試験運用が必要だと論じた。しかし、報告書でも詳細に調査がなされたコンピテンスベース教育(本サイト2014/10/31投稿記事)は、教員が行う学生のコンピテンス獲得評価の結果に左右されすぎており、不公平さを産むとの見解が示された。

本報告書の内容に対し、米国高等教育界は一定の評価が得られているものの、カーネギー単位に替わる代替制度についての具体的な言及がなかったことに失望の声も挙がっている。

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