アラブ地域でニーズを増す国際的なアクレディテーション

原典:Al-Fanar(英語)

中東の教育系メディアAl-Fanarは、中東・北アフリカ地域の高等教育機関が国際的なアクレディテーションを目指す傾向にあると報じている。中でもビジネススクールや工学系プログラムは、アメリカや欧州の基準を充たす教育であると認められることが大きなステータスとなるようである。

国・地域の取組み
もちろん、国によっては質保証制度が整備されているところもある。また、アラブ高等教育質保証ネットワーク(ANQAHE)が設立されたことで、地域として高等教育の質を高めようとする気運も見られる。

機関別アクレディテーション
シャルジャ・アメリカ大学ザイード大学(ともにUAE)は、設立時にアクレディテーション受審を考慮した組織体制を構築した、とNooriとAndersonはInternational Journal of Politics, Culture, and Societyへの寄稿で述べている。実際、この2大学はアメリカにある中部高等教育協会(MSCHE)のアクレディテーションを受けている。

プログラムアクレディテーション
一方、ビジネススクールのアクレディテーションを行うEuropean Quality Improvement Systemによって認定されている例もあるという。同じくビジネススクールへのサービスを展開するAACSB InternationalのCEOによれば、すでにイラク、カタール、エジプト、チュニジア、モロッコ、ナイジェリア、ケニアといった国々で認定された、あるいはされそうな学校が存在する。

他方、アメリカに本拠を置くAccrediting Board for Engineering and Technology (ABET)は工学系学位プログラムのアクレディテーションを行っている。ABETの認定を受けている米国以外のプログラムの実に2/3が中東・北アフリカ(MENA)地域に集中しているという。特に、サウジアラビア、トルコ、UAEに認定プログラムが多い、とABETの幹部は話している。

アクレディテーションの理由
こうした外国のアクレディテーションを受ける理由として、学生獲得が真っ先に挙げられている。また、アクレディテーションの獲得を目指すことは、機関内部を1つの方向に向かわせられるとの指摘もある。

記事の中で、カイロ・アメリカ大学のビジネススクールが、欧州・アメリカ・イギリスの団体からそれぞれアクレディテーションを受けるという「三冠」を達成したことも紹介されている。同校のウェブサイトでは、EQUIS、AACSB、AMBAのアクレディテーションを受けているとの記載がある。

アクレディテーションの障害
Al-Fanarの記事では、特にMBAプログラムではこうした国際的なアクレディテーションへの障害が高いと報じている。その理由としてイギリスの専門家は、アラブ地域のMBA入学者は社会人経験がない場合が多いことを挙げる。

さらに、ビジネススクールの中には“国際性”の欠如を指摘される場合もあるという。具体的には、教授陣やカリキュラムは国際的であっても、学生が国際的でないのだ。また、別の問題点としては、学校が教育に偏重し、研究を行っていないこともマイナスになるという。

これ以外にも、一般教育(数学、歴史、英語などの教科)が高等教育では扱われる習慣がないことや、宗教施設の一部として学校があるために“独自の施設”を持たないとみなされることもあるようだ。

最後に、アクレディテーション機関側が中東地域へ訪問したがらない例も紹介されている。実際、前述のMSCHEも職員が現地への訪問を拒否したことで審査が中断されたことがあったそうである。

カテゴリー: アメリカ合衆国 タグ: パーマリンク

コメントを残す