インドネシア:研究科学・高等教育省が発足、雇用され得る力やイノベーションに取り組む方針

原典:New ministry to tackle employability and innovation (7 February 2015)University World News(アクセス日:2015年2月19日/英語)

参考:三井住友アセットマネジメントマーケット キーワード (1,396)(2014年8月20日)(アクセス日: 2015年2月20日)

インドネシアでは、大統領選挙直後の2014年10月に、研究科学・高等教育省が新たに発足。その後、Joko Widodo新大統領によって2015年1月23日に省組織に関する大統領令が発令されたのを契機として、実質的な活動を始めた。なお、これまで高等教育は教育文化省の所管であった。

前出の省組織に関する大統領令では、研究科学・高等教育省内に5つの総局(「学習・学生」・「科学・高等教育機関」・「科学・高等教育の資源」・「研究強化・発展」・「イノベーション強化」)を設け、同省の今後5年間の達成目標として、卒業生の競争力を高め、公私立大学の研究から産まれるイノベーションを促進することを目指している。

政策的背景など
卒業生の雇用され得る力(employability/すなわち上述の卒業生の競争力)が取り上げられる背景としては、大学卒業者を含む若者の高い未就業率が問題となっていることが挙げられる。インドネシア中央政府の統計機関の報告では、教育を受けた人ほど未就業率が最も高いとされている。世界銀行の報告においても、インドネシアは高等教育システムと労働市場の連結性に欠けているように見受けられる、とされている。他方、2015年中の発足を目指しているASEAN経済共同体では、ASEAN域内での雇用の開放を進めようとしており、国際競争力のある高等教育システムが不可欠な状況にある。これら国内外の状況を背景として、インドネシアの高等教育関係機関は、未就業者が増大する前に改善する必要が出てきている。

研究についても、Muhammad Nasir大臣は、研究が大学のみで実施されている状況はよくないと述べており、人的・財的資源を所掌する研究科学省と統合したことは、研究にイノベーションを起こす一助となり、ゆくゆくは社会に利益をもたらすことが期待されている。

このほか、改革の一つとして、私学高等教育の監督・指導を目的に設置されている私立高等教育機関調整部(Kopertis)を廃し、公立機関(国有法人格をもつ高等教育機関を除く)と私立機関の両方を管理する新たな組織を設立する計画(本サイト2015/1/30投稿記事)が発表されている。

予算面での課題
Muhammad Nasir大臣によると、予算は厳しいものになりそうだという。これまでも高等教育と研究のいずれの分野も資金不足であり、前大統領在任中に承認された2015年予算においても、研究科学・高等教育省の予算額は42兆ルピア(約3,886億円)である(当時の教育文化省高等教育局と研究科学省の予算額を合算)。なお、インドネシアの2015年予算案の歳出総額は2,020兆ルピア(三井住友アセットマネジメント資料による)のため、高等教育と研究科学予算は全体の2%程度である。

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