インドネシアでは、高等教育機関の教育プログラムに対する評価(プログラム別アクレディテーション)を、専門的見地から行う分野別アクレディテーション機関「LAM-PT」の設立が推進されている。
本記事では、設立または設立に向けての動きが確認された2分野の「LAM-PT」について紹介する。
背景知識 ―インドネシアにおけるアクレディテーション―
- 国家教育制度法に基づき、インドネシアにおいて設置認可を受けた「高等教育機関」及びその高等教育機関が提供する「教育プログラム」は、5年ごとにアクレディテーションを受審し、適格認定を受ける必要がある。
- 従前は、インドネシア国内の機関別及びプログラム別アクレディテーションの両方を、国立高等教育アクレディテーション機構(Badan Akreditasi Nasional Pendidikan Tinggi: BAN-PT)が一手に担っていたが、全ての教育機関及びそれらの教育プログラムをカバーすることの業務負担の大きさが指摘されていた。
- 上記をふまえ、2012 年に制定された高等教育法により、プログラム別アクレディテーションを実施する組織として、Lembaga Akreditasi Mandiri Perguruan Tinggi※1(LAM―PT)を設立することが可能となった。
- 今後は、専門職団体・職能団体等によって、分野ごとにLAM-PTが設立され、当該分野におけるBAN-PTのプログラム別アクレディテーションの権限が各分野のLAM-PTに移譲され、BAN-PTの負担が軽減されていくことが期待されている。
- 大学関係者からは、LAM-PTによるプログラム評価には、各分野の教育内容に即した評価基準が用いられることから、教育プログラムの専門性を加味した評価が実施されることが期待されている。
- インドネシアにおけるアクレディテーションの詳細についてはインドネシア高等教育の質保証 ブリーフィング資料(2014年6月 NIAD-UE評価事業部国際課 作成)を参照。
LAM-PTの整備状況
1.保健分野:LAM-PTKes
- 設立済み。2015年3月より運営が開始されている。
- 保健分野における7種類の専攻分野※2約3400プログラムを対象としたアクレディテーションを実施する。
- 2016年8月時点で731プログラムのアクレディテーションを実施済み。
- 機関の運営費はアクレディテーションの手数料により賄われており、政府からの財政補助を受けていない。
- アクレディテーションの手数料は1プログラム当たり4700万インドネシアルピー(約40万円)
2.法学分野:LAM-PT Hokum
- 設立検討中。
- インドネシア法律系大学協会(Asosiasi Pimpinan Perguruan Tinggi Hukum Indonesia (APPTHI))を中心に設立に向けての準備が行われている。
- 2016年8月に研究開発・高等教育大臣のMuhammad NasirはAPPTHIとの会合を行い、法学分野におけるLAM-PT設置に向けた議論を交わした。
※1直訳すると「高等教育機関向けの独立したアクレディテーション機関」。
※2医学、歯科医学、看護学、助産婦学、薬科学、栄養学、公衆衛生学、その他。
原典:LAM-PTKes(英語)
参考①:The Jakarta Post(英語)
参考②:RMOL.co(インドネシア語)