出典:British Council (英語)
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世界26ヶ国の高等教育国際化政策を比較
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3つの領域、37の項目について評価
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「質保証と学位の認証」領域ではオーストラリアがトップ評価
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多くの国では国際化に対する質保証への遅れが目立つ
ブリティッシュカウンシルは世界26ヶ国の高等教育国際化政策を比較した報告書を作成し、2016年5月に発表した。”The Shape of Global Higher Education: National Policies Framework for International Engagement”と名づけられた報告では、合計37の項目で高等教育を受ける外国人学生に対する政府の政策が評価され、3つの領域※別にまとめられた。
※開放性と流動性、質保証と学位の認証、アクセスと持続可能性
「質保証と学位の認定」領域の調査結果
このうち「質保証と学位の認証」の領域はさらに3つの下位領域が設定された:外国人学生の質保証、国境を越えた教育(TNE)プログラムとその提供者の質保証、外国資格の認証。この領域全体を通してはオーストラリアの評価が最も高く、以下イギリス、ドイツ、マレーシアと続いた。
外国人学生に対する政策では、従来から留学生に人気のあるオーストラリア、ドイツ、イギリスに加え、マレーシアとベトナムでも留学生の入国管理の仕組みが整えられていた。例えば、ベトナムでは2014年から進学レベルに応じた統一の入国基準を設けたほか、最低限の語学要件も設定された。また、留学エージェントに対する政策も調査されており、エージェントの倫理規定を設けているオーストラリア、政府による認定制度のあるベトナム、免許制度を取るケニアが紹介された。
TNE提供者に対する政策では、TNEの受入実績が多い国の方では制度が整っている傾向がうかがえた(ボツワナ、ガーナ、パキスタン、ベトナム)。一方で、TNEを送り出す場合が多い国では、自国内でのTNEに対する管理体制が整っておらず、ドイツやイギリスでは外国の教育提供者は正規の質保証を受ける必要がなかった。
外国資格の認証では、全体評価の上位4ヶ国に加え、中国、ケニア、フィリピンの制度も高く評価された。しかし、TNEで得られた学位の認証に関しては道半ばであり、オーストラリア、フィリピン、イギリスのみで第三国で取得したTNE学位に対する認証方針が国レベルで定められている状況であった。
今後の調査方針
「質保証と学位の認証」領域は、3つの領域ーの中で最も発展が遅れていると本書では指摘された。また、調査の結果から新たに課題として浮かんだテーマとして以下の3つが挙げられた:国際的な高等教育に関する国家戦略、学生モビリティ、教育と研究の国際的な協力。ブリティッシュカウンシルでは、この3つのテーマに沿って今後も調査を行うとしている。