アジア大学連盟が中国主導により発足

アジアの代表的な15大学からなるアジア大学連盟 (Asian Universities Alliance: AUA)が2017年4月29日に発足し、北京にある清華大学において400名を超える関係者が出席し、記念式典が開催された。

AUA発足の目的は、加盟大学の連携を強化することにより、特に高等教育、経済、科学技術開発において「アジアの知」を集結し、共に地域的、世界的な課題解決を目指すこととしており、AUAは、高等教育分野の連携を深め、文化的背景に知見のある若い人材の育成、高等教育の質および科学技術開発の向上、アジアの大学の影響力の強化に向けた議論をしていくとしている。また、AUAの目的達成のため、同日に15大学による以下の共同声明が発表された。

加盟15大学による共同声明文

  • 加盟大学の学生、教職員のモビリティの促進
  • 研究協力、共同開発の強化
  • 高等教育戦略や政策を議論するハイレベル対話やフォーラムの開催
  • アジアの高等教育の年報の作成

加盟している15校はTHEアジア大学ランキング2017年の50位以内にランクインしている大学であり、うち6校がアジアトップ10位にランクインしている。日本からの加盟大学は東京大学1校。AUA構想の発案をした清華大学が幹事校となっている。

AUA発足の背景には、2014年11月のアジア太平洋経済協力首脳会議で習近平国家主席が提唱した経済圏構想である「一帯一路構想*1」(“One Belt, One Road initiative”)および中国共産党中央弁公庁と国務院弁公庁が発表した「新時期教育対外開放業務に関するガイドライン*2」(原語:关于做好新时期教育对外开放工作的若干意见)があるものとみられる。

*1 中国からの陸路、海路を合わせた90ヵ国にもおよぶ広大な地域における、道路、鉄道、港湾、通信、エネルギー等のインフラを整備して、中国とのコネクタビリティを改善し、人、モノ、資金、情報等の流通を拡大し、対象地域の経済・産業の振興を図り、中国の輸出に寄与することが期待されている。<参考:中国の教育機関による海外進出(本サイト2016/9/26投稿記事)
*2 当ガイドラインには、2020年までに、海外への留学サービスシステムの整備、海外からの留学受入の質の向上、国際共同運営教育(中外共同教育)のレベルアップ、双方向・多方向の教育の国際協力の発展、教育分野における国際ルールの制定への参画などを目標に掲げている。また、教育投資資金の拡大、大学の経費の使用・管理における自主権の拡大、教員・学生の国外派遣の資金援助の計画なども盛り込まれている。

中国国務院の劉延東(Liu Yandong)副総理は記念式典に出席し、発足の目的として、大学間の協力、連携を強化し、優秀な人材、研究協力、経済、社会貢献、異文化理解、地域/世界規模の課題解決に向けた国際連携のプラットフォームとなることで、さらなるアジア経済の発展に貢献することとし、AUAの役割の重要性を強調していた。

チュラロンコン大学          清華大学(3位)
香港科技大学(6位)              ソウル大学校(9位)
インド工科大学ボンベイ校   コロンボ大学
キングサウード大学      インドネシア大学
シンガポール国立大学(1位) マラヤ大学
ナザルバエフ大学        東京大学(7位)
北京大学(2位)       ヤンゴン大学
ユナイテッド アラブ エミレーツ大学
*()内はTimes Higher Educationアジア大学ランキング2017年の結果

原典①:AUA Joint Statement Announced, Tsinghua University(英語)
原典②:Liu Yandong opens the Asian Universities Alliance Founding Assembly and the first AUA Summit Integrate Asian Wisdom, Shape a Better Future(英語)
原典③:中办国办印发《关于做好新时期教育对外开放工作的若干意见》(中国語)
原典④:统筹国内国际两个大局 做好教育对外开放工作(中国語)

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