出典①:The Brussels Times
出典②:ENAEE
欧州の工学系高等教育の質保証機関が集う欧州工学教育評価ネットワーク(ENAEE*)は、11月に行われた総会の中で、工学系プログラムとその評価を行う質保証機関に向けた基準とガイドラインEUR-ACE Framework Standards and Guidelines (EAFSG)を発表した。EAFSGが整備されたことで、ENAEEに加盟する質保証機関による評価にさらなる統一性が生まれることが期待されている。
ENAEEは、EUR-ACEラベルという欧州の工学系プログラムの品質を保証する制度を運営している。EUR-ACEラベルは各国の質保証機関から学士または修士レベルの教育プログラムに対して与えられるものだが、そのためには質保証機関がENAEEへの加盟審査を通過しなければならない。ENAEEが対象とするのは、欧州高等教育圏で工学系の学士課程と修士課程の質保証を行う評価機関であり、現在のところ13ヶ国の13機関が加盟している。
今回発表されたEAFSGは、欧州の高等教育と職業教育に関する共通の原則に基づいている。特に、欧州高等教育圏資格枠組み(QF-EHEA*)と欧州資格枠組み(EQF*)に則り、かつ欧州高等教育圏における質保証の基準とガイドライン(ESG*)を遵守した内容となっている。
その構成は、工学系学位プログラムに対する基準と質保証機関に対する基準に分けられる。工学系プログラムに対しては学習量の要件、プログラムの成果に対する基準、およびプログラム運営に対する基準が設けられている。質保証機関に向けては、評価活動および評価機関としての質に対する基準が設定されている。質保証機関は、EAFSGに基いて各自の評価基準を設定することが求められる一方、付随するガイドラインについては参考として扱われればよいとされている。
ENAEEでは2014年11月に加盟質保証機関が互いの評価結果を認め合う協定を締結(本サイト2015/1/13掲載記事)している。今回のEAFSG制定によって、欧州地域での技術者の移動の利便性がより高まることが予想される。
工学系教育プログラムに対する基準とガイドライン
- 学生の学習量要件:ECTS*単位の考え方に基いている
- プログラムの成果(プログラム単位の学習成果)に対する基準:以下の8項目が設定され、学士課程と修士課程で別個の内容となっている。
知識と理解、工学的分析力、工学的デザイン、調査・探求、工学的実践、意思決定、意思疎通とチームワーク、生涯学習
- プログラム運営に対する基準:下記5つの基準が設定されている。
プログラムの目的、教授と学習の過程、資源、学生の入学・編入学・進級・卒業、内部質保証
質保証機関に対する基準とガイドライン
- プログラムの評価に対する基準:下記5つの基準が設定されている。
方法と制度、文書管理、認定までの過程、意思決定、公表
- 評価機関の質に対する基準:下記2つの基準が設定されている。
組織体制、立場と資源
QF-EHEA: Framework of Qualifications for the European Higher Education Area
EQF: European Qualifications Framework
ESG: Standards and Guidelines for Quality Assurance in the European Higher Education Area
ECTS: European Credit Transfer and Accumulation System