原典:オーストラリア教育訓練省(英語)
2016年4月30日、オーストラリア政府が、国際教育に関する国家戦略(National Strategy for International Education 2025)を発表した。同国では、輸出額において教育関連旅行サービス※(Education-related travel services)が主要な産業となり、従来の主要産業である、鉄鉱石や石炭などの資源産業に次ぐ第3位に位置している(出典: オーストラリア外務貿易省 COMPOSITION OF TRADE AUSTRALIA 2014-15, p.25)。教育関連旅行サービスは、資源産業からサービス産業への移行に向けた重要な産業と位置付けられており、今回策定された国家戦略では、同国における教育関連産業をさらに増強していく目的があると見られる。
本戦略では、国際教育に関わる教育・訓練、研究の分野において同国が世界を牽引する役割を果たしていくための10年計画が示されている。また、本戦略は、教育訓練省の支援を受け、国際教育のための新委員会を中心に実行されることとなっているが、政府のみならず国全体で関わっていくものであるとしている。戦略実施のため、2016年からの4年間で1,200万豪ドルを拠出するものとしている。
本戦略には、3つの大きな柱の下に、それぞれの柱に付随する目標が示され、さらに目標達成のために取るべきアクションが具体的に示されている。
柱 | 目標 | アクション |
1.基盤の強化 | 1.世界レベルの教育・訓練、研究制度の推進 | 1.1教育・訓練、研究における牽引的役割の推進 |
1.2オーストラリアの国際教育セクターを支援する国家的なアプローチの策定 | ||
2.実現しうる最高の学生経験の提供 | 2.1学生の支援 | |
2.2学生の選択に係る情報提供 | ||
2.3グローバルに活躍できる学生の育成 | ||
3.効率的な質保証と規制の提供 | 3.1強固な質保証システムの維持 | |
3.2強固な学生保護の保証 | ||
2.革新的な連携構築 | 4.国内での連携強化 | 4.1より広範なコミュニティとの連携 |
4.2ビジネス・産業界とのよりよい連携の奨励 | ||
5.海外での連携強化 | 5.1政府間の関係を通じた信頼構築 | |
5.2機関間の連携を通じた協働関係の強化 | ||
6.流動性の向上 | 6.1実効的なビザ要件や職場環境の調整による国際的な流動化促進支援 | |
6.2学生、教育者、研究者の流動性の拡大 | ||
6.3資格認証による卒業生の支援 | ||
7.卒業・修了生との継続的なつながりの構築 | 7.1卒業・修了生との関係構築 | |
3.グローバルな競争 | 8.オーストラリアの卓越性の広報 | 8.1オーストラリアを高品質な高等教育提供者として広報 |
9.国際教育を発展させる機会の享受 | 9.1学生と雇用者のニーズを満たす革新的な教育・訓練の推進 | |
9.2オーストラリア各地域での機会の拡大 | ||
9.3新たな機会の特定、対応 |