QAAが、学生の剽窃行為防止のための提言を公表

原典:英国高等教育質保証機構(QAA)(英語)

英国高等教育質保証機構(QAA)が、2016年8月16日に高等教育における学生の剽窃行為に関する報告書「Plagiarism in Higher Education(全31ページ)」を公表した。

近年、エッセイ・ミル(essay mills)として知られる論文執筆代行業者を利用した剽窃行為が大学生の間でみられるようになり、世界的に問題となっている。

QAAにおいては、エッセイ・ミルを取り締まる権限こそないものの、エッセイ・ミルのような剽窃行為は、QAAの定める高等教育の評価基準である「英国高等教育のための質規範(クオリティ・コード)」に違反するものであり、ひいては、英国高等教育の質や評判に対する重大な脅威になるとして憂慮している。

当報告書では、剽窃行為の中でも主にエッセイ・ミルに焦点が当てられており、その現状、各国の対応策や、今後、英国はどのようにこの問題に対応していくべきか等の提言や行動計画について紹介している。

<当報告における主な提言>

  • 大学は、学生団体や職能団体・法定機関・監督機関(professional, statutory and regulatory body: PSRB) などの高等教育の関係機関と協力し、対応するためのガイドラインの作成やグッドプラクティスの共有を行うなどにより、論文執筆代行業等の剽窃行為を助長する行為に対処すべきである。
  • ニュージーランドでは、各学校のコース認証や、海外の卒業資格の認定等を司る政府機関であるニュージーランド教育資格審議会(NZQA)が、論文執筆代行業の取り締まりを実施している等、対応のための法整備がなされている。このような事例を参考にし、英国においても法整備を検討すべきである。
  • 論文執筆代行業はインターネットを介して行われることが多いことから、広告会社やネットの検索エンジンを運営している会社に依頼して、学生がネット上で論文執筆代行に関する広告を閲覧できないようにするなどの措置を講じるべきである。

なお、当機構において、2015年7月に、平成27年度大学質保証フォーラム「知の質とは アカデミック・インテグリティの視点から」をテーマに開催し、近年の日本の教育・研究事情を概観しながら、学術不正に対して、どのように取組むべきか議論した。本フォーラムの報告書もあわせてご覧いただければ幸いである。

※職能団体・法定機関・監督機関(Professional, statutory and regulatory bodies: PSRBs)とは、職業資格の取得要件に照らして特定のプログラムの認定、認可、または認証を行う組織のことを示す。なかには、当該プログラムの学術的な質及び職業訓練的要素を判断する責任が法律上規定されている機関もある。

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