アクレディテーションの効率化―NVAOと他の質保証機関によるアクレディテーションの共同実施

原典:オランダ・フランダースアクレディテーション機構(NVAO)(英語)
参考:オランダ・フランダースアクレディテーション機構(NVAO)(英語)

2016年11月、オランダ・フランダースアクレディテーション機構(NVAO)は、国際的な質保証機関や分野別の質保証機関とのアクレディテーションの共同実施(combined accreditation)について説明した「FAQs Combined accreditation process」を発表した。
現在、オランダの高等教育機関の多くは、受審が義務づけられているNVAOのプログラム評価に加え、優れたプログラムであることを示すためにAACSB(The Association to Advance Collegiate Schools of Business)などの国際的な分野別の質保証機関の審査も受けている。それらの質保証機関とNVAOのアクレディテーションのプロセスでは重複する部分が多いため、NVAOは受審機関の事務負担の削減に向けて重複している要素(例えば、自己評価書の作成、評価体制、訪問調査等)を可能な限り統合する。これにより、受審機関は、単一のプロセスで両機関のアクレディテーションを取得することができるとされている。

アクレディテーションの共同実施の詳細

現在のところ、本アクレディテーションの適用は既存のプログラムに対する評価に限られており、機関別オーディットや初期アクレディテーションは対象外である。本アクレディテーションはあくまで受審機関側の選択に委ねられているが、選択することによって、受審機関側の事務負担を減らすことができる見込みである。
NVAOは下記4つの分野別の質保証機関(括弧内は専門の分野)と覚書を締結しており、分野と関係のあるプログラムが本アクレディテーションを選択する資格があるとしている。

  • AACSB:The Association to Advance Collegiate Schools of Business(ビジネススクール)
  • EFMD:European Foundation for Management Development(ビジネススクール)
  • EAPAA :European Association for Public Administration Accreditation(行政学)
  • EADI:European Association of Development Research and Training Institutes(開発学)

*2016年秋にTHE-ICE:International Centre of Excellence in Tourism and Hospitality Education(観光学)と覚書を締結予定。

本アクレディテーションのプロセスについては、まず、共同でのアクレディテーション実施を希望する質保証機関・団体がNVAOに提案を行う。提案を受けて、NVAOは関連プログラムや機関間で調査を行い、統合されたプロセスで行うことのメリットを検討する。その結果、単一化したプロセスに十分なメリットがあるとNVAOが認めた場合、制度の枠組み(基準や評価体制、訪問調査の日程)など実務面について関係者間で検討を行い、合意を結ぶというものである。

実際に、2016年6月、NVAOとAACSBは覚書を基に、アムステルダム大学の経営学や経済学などのプログラムについて、アクレディテーションを共同で実施している。また、グローニンゲン大学やマーストリヒト大学なども、NVAOとAACSBによるアクレディテーションの共同実施に向けて準備をしているという。

ただし、NVAOとドイツGACの事例※1のように、アクレディテーションを共同で行うことについて合意した質保証機関が出した各々の既存のアクレディテーションの結果や評価書のみを使って、今回のNVAOと他の質保証機関が実施するアクレディテーションを受けることはできない(事務負担削減のための将来的な合意の可能性を排除するものではないとしている)。

※1NVAOはドイツGACとの覚書により、ジョイント・ディグリー課程の評価の簡素化(本サイト2015/8/7投稿記事)も行っている。
ドイツの大学とオランダ/フランダースの大学間のジョイント・ディグリー課程のプログラム評価について、GAC認定評価機関かNVAOのどちらか一方の評価に加え、もう一方の機関が求める追加の評価項目も含めることにより、一機関による評価であっても両機関のアクレディテーションが与えられるものである。
この場合は評価を両機関共同で行うのではなく、一機関の評価プロセスの中に、他方の機関の評価項目を組み込む手法を用いている点で上記と区別できる。

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