原典: Erasmus Mundus Graduate Impact Survey(英語)
2017年2月に、エラスムス・ムンドゥス※1のインパクト調査結果の報告書「Erasmus Mundus Graduate Impact Survey(全41ページ)」が公開された。
この調査は、2009年から毎年実施されており、エラスムス・ムンドゥス(以下「プログラム」)の在学生や修了生にプログラムが与えている影響を調べ、プログラム修了生の自己啓発、専門能力(職能)の向上にどのように寄与しているかを調査したものである。また同報告書には、長期的な分析を含めた2012年から2016年までの結果を掲載している。
今回の調査はオンライン形式により、2016年11月7日から28日にかけてプログラムに参加した修士課程の在学生および修了生を対象として行われた。設問数は約60問、回答者は1,595人。回答者の内訳は、修了生1,332人(83.5%)、在学生263人(16.5%)である。
主な調査結果
- プログラム全体を通じた満足度は、7段階(非常に満足、大いに満足、満足、部分的に満足、満足していない、不満、大いに不満)のうち、特に肯定的な評価(非常に満足、大いに満足)をした者が77.8%を占め、比較的肯定的な評価(満足、部分的に満足)をした者を含めると、91.9%である。※2
- プログラムの質への満足度は5段階(非常に満足、満足、どちらともいえない、不満、非常に不満)のうち、肯定的な評価(非常に満足、満足)をした者が73.3%であった。※2
- 学問分野や学習年限の違いにより、プログラムの質への満足度に大きな差は見られず、この平均値は「大いに満足」のレベルに近かった。※2
- 修了生のうち、73.1%が自身が専攻した学問分野に関わる職業に就いていると回答した。※3
- 修了生が、プログラム参加を通じて大きく影響を受けたと考える点については、「異文化間能力」58.6%、「キャリア形成」41.5%、「専門性」33.8%、「人格」28.5%という回答であった。
- 卒業後の進路について、被雇用者(56.4%)、博士・修士課程学生(28%)、失業・求職中(5.4%)、自営業(4.1%)と回答した。※3
- プログラムで修士課程を選んだ最大のきっかけは、「奨学金」(64.8%)、「欧州への移住・留学」(51.3%)、「参加大学の水準の高さ」(40.4%)※2となっている。
- 自国におけるプログラムの認知度について、5段階(非常に知られている、どちらかといえば知られている、どちらともいえない、知られていない、全く知られていない)のうち、平均値は「どちらともいえない」であった。地域別では認知度が最も高い地域は東南アジアで「どちらかといえば知られている」に近く、認知度が最も低い地域はオセアニアで「どちらかといえば知られていない」であり、EUにおける認知度は「どちらかといえば知られていない」と「どちらともいえない」の中間であった。
なお、過去の調査結果は下記からご覧ください。
Erasmus Mundus-Graduate Impact Survey2013-2014(本サイト2015/1/13投稿記事)Erasmus Mundus-Graduate Impact Survey2014-2015(本サイト2016/4/12投稿記事)
※1欧州を中心とし、高等教育を対象とした奨学金及び学術交流にかかるプログラムのこと。
※2回答者は所属学生と卒業してから2年以内の卒業生。
※3回答者は卒業してから1年以上の卒業生のみ。