DAAD(ドイツ学術交流会)が、ドイツにおける外国人留学生(受入・派遣)の最新の状況に関する報告書を発表し、ICEF Monitor※1が当報告書を元に受入留学生についてまとめた。
※1…ICEFは、教育機関・エージェント等を対象として、国際教育や留学の促進・発展のサポートを行う有限会社(本社:ドイツ・ボン)。ICEF Monitorは、ICEFが提供する無料のオンライン情報であり、国際教育産業のニュース、マーケット情報、リサーチ、動向、留学生獲得のためのヒントなどが発信されている。
受入
〇ドイツにおける外国人留学生受入政策
ドイツでは、外国人留学生を2020年までに35万人受け入れるという留学生受入政策を掲げている。2016年には、外国人留学生数が34万305人に達し、ドイツ全体の高等教育機関に所属する学生の約12%を占めた。なお、2014年の世界の留学先ランキングでは、米国、英国、豪州、カナダ、中国に続き6位となり、欧州域内では英国に続く人気の留学先となっている。近年、受入留学生数は増え続けているが、授業料の安さや英語による博士プログラムの提供及び卒業後に一定期間就労できる権利(post-study work rights)が改善されたことが影響していると考えられている。
〇外国人留学生の派遣元
ドイツに留学する外国人留学生の派遣国・地域は、中国、インド、ロシア、オーストリア、イタリアの順となっており、トップである中国からは3万2,268人の学生が留学している。6位以降は欧州地域からの学生が目立ち、派遣国・地域のトップ20までを集計すると、45%が欧州地域から、28%がアジア地域からの留学生となっている。
派遣
〇モビリティの達成目標及び状況
欧州では、2012年に開かれたブカレスト・コミュニケ(参照:NIAD-QE国際連携ウェブサイト)において、「2020年までに、欧州高等教育圏(EHEA)における卒業者の少なくとも20%が留学※2を経験する」というモビリティの達成目標が掲げられた。これに対し、ドイツは国として「2020年までに、ドイツにおける卒業者の半数が留学※2を経験する」という達成目標を掲げている。
今回の報告書において、2013年のドイツにおける卒業者のうち、約25%が留学を経験していると発表された。すなわち、EHEAにおける目標は既に達成し、ドイツの国としての目標はまだ達成出来ていないということとなる。
※2…ここでいう「留学」とは、(1)学位取得を伴う留学、(2)3か月以上の留学、(3)少なくとも15ECTS取得を伴う留学を指す。
〇ドイツ人留学生数
・学位取得を伴う留学
2014年における学位取得を伴うドイツ人留学生数は、13万7,000人であった。留学先は、オーストリア、オランダ、英国、スイス、米国の順で多く、近隣国への留学が活発であることが窺える。
・学位取得を伴わない短期留学
学位取得を伴わない短期留学にかかるドイツ人留学生数の公式なデータは公表されておらず、学生調査等から推測するしか方法がない。その一方、エラスムスプログラムに参加する留学生数は公表されている。2015年におけるドイツからのエラスムスプログラム参加者数は3万9,719人であり、短期留学を行ったドイツ人留学生数の約3分の1を占めると推測されている。
原典①:DAAD(ドイツ学術交流会)(英語)
原典②:Germany’s foreign enrolment continues to grow(英語)