米国教育協会による大学の国際化の多面的支援

米国教育協会(American Council on Education: ACE)は、米国の大学の国際化を支援するため、国際化評価の実施や国際化ツールキットの提供、国際化をけん引する人材の支援等を行っている

1.ACEが行う国際化評価

ACEは国際化・グローバル参画センター(Center for Internationalization and Global Engagement: CIGE)を設けており、その活動の一つとして、国際化ラボラトリー・プロジェクトを通じた大学の国際化評価を実施している。2017年6月5日、CIGEは2017年8月から2019年4月までの20か月間を活動期間とする国際化ラボラトリー・プロジェクトの第15期参加大学を募集した。なお、募集数には制限がある。

国際化ラボラトリー・プロジェクトでは、参加大学はプログラムを通じて、国際化リーダーシップチームを組織し、機関の目的や学生の学習目標を明確にし、行動計画を刷新した上で参加大学の国際化の現状について評価を行うこととされ、評価の過程では、自己評価、訪問調査、ピアレビュー及び最終報告書の作成がなされる。ACEの専門家による評価を行い、それぞれの大学に合せたガイダンス、分析及びフィードバックを提供する点に特徴があり、2003年にプロジェクトを開始して以来、米国内の100校以上で国際化評価を行ってきた実績を有する。

2.国際化ツールキットの提供

国際化ラボラトリー・プロジェクトによって蓄積された各大学による国際化のための政策、プログラム、調査及び情報は、国際化ツールキットにより共有されており、国際化のためのモデルとして、プロジェクト参加大学に限らず広く提供されている。これらの実践や情報は、CIGEが提唱する包括的な国際化の要素である以下の6つの観点に従って整理されている。

  • 国際化のための機関の関与
  • 管理体制及び人材
  • カリキュラム、共同カリキュラム、学習成果
  • 教員の政策と実践
  • 学生モビリティ
  • 連携とパートナーシップ
3.国際化をけん引する人材の支援

またACEは、大学のシニアリーダー(研究科長、学長等)を対象としたリーダーシップ・プログラムを提供しており、当該プログラムの一環として、CIGEは毎年、国際化をけん引するための講座を開催している。この講座では、国際化担当のシニアオフィサーや研究科長等を対象に、国際化のモデルを示すことで各機関の取組みに活かし、幹部のリーダーシップをより効率的に発揮することを目指している。2017年は6月11日から3日間にわたって実施した。

4.各国で行われている国際化評価と今後の課題

米国のほか、各国で大学の国際化のための方策としての評価や参照ツールの提供がなされている(参照:NIAD-QE国際連携ウェブサイト)。例えば韓国では、国際化の能力が優れた大学を「認証」することで、高等教育機関の質の管理と優秀な外国人留学生の誘致拡大につなげることを目的として教育国際化力量認証(IEQAS)がなされている(本サイト2017年3月31日投稿記事)

なお、ブリティッシュカウンシルが2016年5月に発表した報告書「The Shape of Global Higher Education: National Policies Framework for International Engagement」では、世界26ヶ国の高等教育国際化政策を比較しており、外国人学生の質保証、国境を越えた教育(TNE)プログラムとその提供者の質保証、外国資格の認証といった指標について各国の数値が低いというデータから、各国の高等教育の国際化については質保証をより充実させる必要性が示されている(本サイト2016年5月30日投稿記事)

※ 地方分権的な政治形態を有する米国では、州政府は成果がすぐに可視化できない国際化戦略に多額の税金を投入することにアカウンタビリティ上懸念を抱いていることから、政府レベルでの大学の国際化政策の優先順位が低いとされている。そこで、機関レベルでの大学の国際化を推進しているのがACEであるという。(野田文香(2013)「米国における大学国際化評価の動向と課題」、『大学評価・学位研究』14、40-41頁)

原典①:ACE(英語)
原典②:ACE(英語)

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