欧州委員会が、欧州資格枠組(EQF)を改訂

  • 欧州委員会(EC)が、現在24のEU加盟国において参照されている欧州資格枠組み(EQF)を改訂。
  • 改訂の目的は、教育・訓練制度の発展や学習者・労働者の雇用可能性やモビリティの向上が挙げられる。
  • EU加盟国は、新たに作成されたEQF参照基準・原則等をもとに、EQFのレベルが明記された資格文書の作成等が求められている。

 

2017年5月22日に行われた、欧州委員会(EC)の教育・青年・文化・スポーツ会議において、EQFの改訂案が採択された。今回の改訂では、資格の互換性及び透明性を高めることによる学習者・労働者の雇用可能性やモビリティの更なる向上をはじめ、資格取得のための学習方法(ノンフォーマル学習・インフォーマル学習)や場所(国内・国外)を問わず、資格保有者が有するスキル・コンピテンスが可視化されることが重要視されている。また、EQFはあくまで参照基準であり、各国において資格やコンピテンスが定義づけられる必要があることが強調されている。

【改訂のポイント】
原則・基準の追加

従来の「EQFにおける高等教育、職業教育及び訓練に関する質保証の共通原則」は廃止され、以下3点の原則・基準等が追加された(改定案p.18~23参照)。
(1) 国家資格枠組・制度をEQFへ参照する際の基準及び手順
(2) EQFを参照する国家資格枠組・制度における資格の質保証原則
(3) EQFを参照する国家資格枠組・制度に関連する単位互換制度の原則
EU加盟国は、上記の新たな原則・基準をもとに、必要に応じて、全ての公的な資格文書(証明書、卒業証書、ディプロマ・サプリメント等)の発行や資格の登録の際には、適切なEQFのレベルを明記することや、ECTSやECVET(欧州職業教育訓練単位制度)等の単位互換制度をEQFへ参照することが求められることとなった。

8つのレベルの表における変更点

改訂前のEQFは、「知識(Knowledge)」「技能(Skills)」「能力(Competence)」の3つについて各レベルの説明がされていたが、改定後は「知識(Knowledge)」「技能(Skills)」「責任感と自律性(Responsibility and autonomy)」の3つに変更となった。
(旧)
「能力(Competence)」…EQFにおいては、責任感と自律性という意味で能力が記述される。
(新)
「責任感と自律性(Responsibility and autonomy)」…EQFにおける責任感と自律性は、学習者が持つ知識と技能を自律的かつ責任を持って活かす能力として記述される。

なお、欧州高等教育圏資格枠組み(QF-EHEA)との互換性についての注釈の記述が変更されているが、実質的な内容は同じ。

※ノンフォーマル学習・インフォーマル学習については、中央教育審議会生涯学習分科会学習成果活用部会(第2回/平成27年6月18日開催)の配布資料参照。

原典:EC(欧州委員会)(英語)

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