フィンランドにおける新たなオーディットモデル:ベンチラーニングで機関間交流を促進

フィンランド教育評価カウンシル(FINEEC)が、第3サイクル(2018-2024年)における新たなオーディットモデルを発表した。第2サイクル(2012-2018年)におけるオーディットでは、6つの基準(target)に対し4つの評価(advanced/developing/emerging/absent)を与える方法がとられていたが、第3サイクルでは、第2サイクルにおける6つの基準に替わり、4つの評価領域が設定されており、各領域について3つの判定(excellent/good/insufficient)を与える方法がとられることとなる。
また、第3サイクルから、機関同士でグットプラクティスを共有し合う「ベンチラーニング(以下参照)」も評価対象の一部となっている。

新たなオーディットモデル

評価領域(Areas of evaluation)

以下の1.~3.の各領域(area)に対し、excellent, good, insufficientの判定が与えられる。なお、各領域において最低でもgoodを得られなければ、オーディットを通過することが出来ない。
1. 高等教育機関が生み出すコンピテンス(教育計画・実施・強化)
学生中心の教育が行われているか?
2. 高等教育機関が与える社会的影響度(社会との交流・社会的影響のマネジメント、社会的影響力のある研究・開発・改革に関する活動や芸術活動の実施等)
⇒大学における研究や芸術活動がどれほど社会的影響力を持つか?
3. 高等教育機関自身の質向上と学生の満足度に関する取組み(大学運営における質保証制度活用、開発等)
⇒戦略的大学運営において、質保証制度がどれほど活用されているか?

また、4. 選択領域として、オーディット受審機関が、今後の自機関の発展のためにフィードバックを受けたいと考えている評価領域を独自に設定し、評価を受ける。なお、当該領域においては、上記3つの評価(excellent, good, insufficient)は与えられず、オーディットを通過するかどうかに影響は与えない。

ベンチラーニング(benchlearning)

ベンチラーニングとは、オーディット受審機関が他の高等教育機関等とパートナーを組み、機関同士で上記領域の1.~3.に関するグットプラクティスを共有し、両機関の発展に寄与することを目標とする取組みである。オーディット受審機関は、どの領域においてベンチラーニングを行うか、またどの機関をパートナー機関とするかを自由に決定できる。加えて、各機関におけるベンチラーニングの参加者は機関内で自由に選定することが出来る。なお、参加者は、学生、教授、職員等、機関内における様々な層から選定することが奨励されている。

上記1.~3.における評価において、ベンチラーニングは評価対象の一部として考慮され、実施計画やプロセスについて評価チームからフィードバックを受けることとなる。

クオリティーラベル

オーディットを問題なく通過した機関には6年間有効のラベルが与えられる。なお、第3サイクルからは、「Quality Label for Excellence」と称したラベルが追加された。当該ラベルは、上記1.~3.の評価のいずれかでexcellentの評価を受けた機関が候補となるもので、候補機関はオーディットとは別にFINEECから評価を受ける必要がある。なお、ラベルを与えられた機関は、FINEECのウェブサイトにて紹介され、機関代表者はFINNEC主催の質保証セミナー等においてスピーカーとして招待されることとなる。

※フィンランド教育評価カウンシル(FINEEC)…1996 年、政府から独立した高等教育評価の専門家団体としてフィンランド高等教育評価カウンシル(FINHEEC)が設立した。その後、2014年に組織統合されフィンランド教育評価カウンシル(FINEEC)となり、評価対象が幼児教育から高等教育までに拡大された。欧州高等教育質保証機関協会(ENQA)の正会員であり、欧州質保証登録簿に登録済。 評価事業として、オーディット及び分野別評価を行う。

原典:フィンランド高等教育評価カウンシル(FINEEC)

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