イギリス:2018年 学生局(OfS)設立に伴う新たな質保証機関の選定について

イギリスでは、高等教育・研究法の成立(2017年4月27日)により、2018年1月から新たに学生局(OfS:Office for Students)が業務を開始することになった(2018年4月から本格運用)。学生局とは、HEFCE(イングランド高等教育財政カウンシル)及びOFFA(高等教育機会均等局)を前身とする政府外公共機関で、主にイングランド地方で高等教育の質保証や規制等※1を行う。また、イングランド以外の地方における質保証にも協力するとしている。

今後は、学生局によって推薦された、一つの質保証機関が教育省大臣からの指定を受けることで、イングランド地方の高等教育機関の質・水準の評価等を実施する。指定を受けた質保証機関は2018年4月から業務を開始する予定となっている。質保証機関の指定の条件や流れについては以下のとおり。

1.指定を受けるための法定条件(高等教育・研究法)

指定質保証機関となるためには、以下の条件A~Dをすべて満たさなければならない。

条件A:効果的な方法でアセスメント機能を果たすことができる。
条件B:
(a)質保証機関における組織運営方針(strategic priorities)の決定者が、学生局に登録される高等教育機関を幅広く代表する者である。
(b)学生局に登録される高等教育機関の信頼を獲得している。
(c)あらゆる高等教育機関から独立している。
条件C:高等教育・研究法附則4の規定のもとで指定を受けることに同意している。
条件D:法人であり、
(a)国王の官吏または代理人ではない。
(b)省大臣がその構成員を任命していない団体である。

2.指定を受けるプロセス

① 機関による意思の表明(2017年8月以降)

指定を受けたい機関は、自身の機関が、高等教育・研究法で定められた条件を満たしていることを説明する文書を3000文字以内で作成し、教育省に提出する。この意思表明によって、2017年秋から実施される協議の際に、学生局に指定される可能性のある機関として名前が挙げられること及び教育省が意思表明の文書を公表することに同意したこととなる。なお、QAA(英国高等教育質保証機構)は2017年9月21日に意思表明を発表している。

また、この意思表明の文書においては、指定質保証機関となるための以下の項目について記述することが求められている。

  1. 高等教育の質や基準を評価する能力―高等教育機関の新規登録時や更新時におけるアセスメントの実施や各機関に対する指導ができるか。
  2. 学位授与権にかかる学生局に対する助言―高等教育機関の学位授与権の承認、変更、取消を行う際に質保証機関としての助言ができるか。
  3. 自機関における組織運営方針の決定者が、どのようにイングランド地方の多様な高等教育機関を代表しているのか。
  4. 自機関が高等教育機関からどのように信頼を獲得し、維持しているのか。また、あらゆる高等教育機関から独立した機関であることをどのように保証するのか。
  5. 手数料―手数料の設定にあたっては、関係機関間で協議が行われることが見込まれる。手数料試算表に変更が生じた場合、関係者が理解できる理由を事前に示さなければならない。また、手数料計算書を発行しなければならない。
  6. 自機関のガバナンスや財政をどのように運営するか(内部監査部門を設置しているなどの優良事例を含む)。
② 協議(2017年秋後半以降)

質保証機関の指定に関する協議は2017年秋後半から教育省が主導して実施する。協議は公開され、特に学生や卒業生を含む幅広い高等教育機関関係者からの意見を求めるものとなっている。また、指定機関となる意思を表明した機関もこの協議への対応を行う機会が与えられている。協議中、意思表明をしていない他機関についても協議メンバーは言及することはできるが、最終的にはその機関による同意が必要となる。協議は、学生局が指定機関を決定する際の判断根拠を提供するものであり、特に高等教育セクターの信頼を獲得しているかについての判断に資する。

③学生局から教育省大臣への推薦(2018年3月)

学生局が指定するのにふさわしい機関が2つ以上あると判断した際には、学生局はその機関の中から最も適切であるとされる機関を教育省大臣に推薦しなければならない。また、指定するのにふさわしい機関が存在しないと判断した際には、学生局は教育省大臣に機関を推薦することなく、法律に基づき学生局自らが高等教育機関を評価する役割を果たすこととなる。

④教育省大臣からの指定

学生局は適切な質保証機関が存在しなかった場合も含めて、教育省大臣に推薦について通知しなければならない。学生局はこの通知を公表する。その後教育省大臣は指定に関して判断を行い、もしその推薦を受け入れない場合には、その理由を公表しなければならない。

※1 学生局には、(1)あらゆる種類の高等教育機関の一元的な登録管理、(2)高等教育機関への財政支援、(3)教育卓越性枠組(TEF)(本サイト2017/3/28投稿記事)の実施等の役割がある。

原典①:英国教育省(DfE)(英語)
原典②:QAA(英語)
原典③:高等教育・研究法 附則4(英語)

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