シンガポール:国立南洋工科大学が卒業生に対して新たな取組みを開始

 シンガポールの南洋工科大学(以下NTU)は、生涯学習の発展および同校の卒業生が適切な時期に深いスキルを得るための南洋工科大学卒業生コースクレジット(NTU Alumni Course Credit)を創設すると発表した。また、この制度は、絶え間なく変わる世界の労働力人口の中でスキルアップを図る卒業生を支援するねらいもある。
 NTUの卒業生と国立教育学院(以下NIE)の卒業生約22万人は、各々S$1,600(約130,000円)相当のクレジットを受け取り、the College of Professional and Continuing Education (PaCE College)*1が提供する、企業金融やグラフィックデザイン等のすべてのコースの申し込みに使用できる。このクレジットは2017年の11月から使用可能で、120以上のコースから選択できる。たとえば、データ分析、クラウドコンピューティング、ナノマテリアルや免疫学といったシンガポール国内で需要があるものが含まれる。

コースについて

短期コース(職業開発コース)

 1日から1週間程度の短期間のものが63コース開講される。会計/ビジネス/人材マネジメント、コミュニケーションスキル、教育、工学、IT&情報学、自己啓発の6カテゴリーに分かれている。

セメスター単位のコース

 13~15週間の1学期中に55コース開講され、コース修了後は単位が取得でき、単位を積み重ねることで準修士号をとることもできる。

  • Specialist Certificate courses―新興分野(コミュニケーションネットワーク、サイバーセキュリティ等)における知識や技術を更新するためのコース
  • Graduate Certificate courses―電子工学やパワー工学の分野の学士号を持っている人もしくはその分野の仕事に従事している人が対象で、知識や技術を更新するためのコース
  • Technology-Enhanced Learning (TEL) courses―新しい教授法である反転授業(flipped classroom)*2を導入したコースで、工学、科学、コンピューティングやビジネスの4分野の知識や技術を更新するためのコース
  • パートタイム工学学位コース

     4年間のうちに、自分のペースでオンライン学習と大学構内における学習の混合学習をし、フルタイムの学生と同じ試験を受けることで工学の学士の学位を取得できる。大学における授業はあまりなく通学の時間を削ることができ、働きながら大学教育を受けることができる。

    クレジットの使用条件

     いくつでも申請は可能だが、1学期中に1コース受講までという制限があり、1年間に2コースまで使用可能。別途、事務手数料S$200と事務手数料および受講料にかかる消費税を支払うことになる。ただし、生涯学習奨励のため、40歳以上のシンガポール人は、事務手数料が50%割引されS$100の支払いでよいことになっている。また、このクレジットを現金化したり、NTUが他に開講しているコースに使うことはできない。何らかのコースを受講後に、別のコースを受講したくても残りのクレジットが足りない場合は、その不足分を現金で支払うことで受講可能となる。

    受講の条件

     多くのコースで受講条件は設定されていない。ただし、大学院相当の高度なレベルのコースには条件があり、その場合はPaCEのウェブサイトに明記されている。

    申し込み方法

     PaCE Collegeのウェブサイトで申し込みができる。

    S$1600 creditで、どのくらいのコースを申し込めるのか?

  • 40才以上のシンガポール人の場合
  •  労働者技能資格(Workforce Skills Qualifications (WSQ))あるいは教育省(MOE)の助成金で受講料を相殺できるので、短期コースを6コース、もしくはセメスター単位のもので6コース受講できる。

  • 40才以下のシンガポール人もしくは永住者の場合
  •  短期コースを4~5コース、もしくはセメスター単位のもので2コース受講できる。

  • 外国人の場合
  •  短期コースを2コース、もしくはセメスター単位のもので1コース受講できる。

    *1 the College of Professional and Continuing Education (PaCE College)は、シンガポール政府の推し進める生涯学習と将来に向けた労働力の発展「Skills Future」に則って、2016年にNTUが設立。
    *2 従来の授業形態を「反転」させたもので、家庭でいわゆる「授業」を映像教材を用いて予習の形で受講し、学校の授業の時間では通常「宿題」として扱われる演習や、学習内容に関わる意見交換などを行う。

    原典:NTU
    参考:The Straits Times

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