中国では、2035年までに高等教育強国となるという目標を掲げ、学士課程教育を目標実現の基礎と位置づけ、重視していく方針を明確にしている。
教育部が、2018年6月21日に、全国の行政の教育部門、大学の管理者、教員など約5万人を動員して開催した、高水準学部課程教育建設に関する全国大学学部課程教育会議では、「高水準学部課程教育建設の加速と人材育成能力の全面的向上に関するガイドライン(原語:关于加快建设⾼⽔平本科教育 全⾯提⾼⼈才培养能⼒的意⻅)(案)」が発表され、意見が求められた。
当該ガイドラインでは、政治思想教育の強化や、徳育・文化教養教育の重視、教員の質向上、教員評価システムの改革、IT技術と教育の融合(MOOCなど)、海外の大学との共同教育、ダブルディグリー、ジョイントディグリーの推進など40項目に上る、学部課程教育のレベル向上に向けた政策が盛り込まれている。
このうち、質保証に関しては、大学における質の文化の構築を強化するとして、以下の内容が示されている。
質保証・評価システムの整備
行政の役割
- ・行政、大学、評価機関の三者分離の実現
- ・質の面で問題が顕著になっている大学に対して行政が特別監督指導を実施
質の文化の構築
- ・教員・学生の共通の価値観として根付く質の文化の形成
評価システムの整備
- ・リアルタイムモニタリング、定期評価、特定項目に関する監督指導を組み合わせた新たな形の評価システムの構築
- ・人材育成のレベルと質を最重要指標に据えた大学評価
- ・自己評価制度の強化と内部質保証の健全化
- ・《大学学士課程分野別教育の質国家基準》(原語:普通⾼等学校本科专业类教学质量国家标准)と関連業界の基準を参照し各大学の実情と発展目標に沿った教育基準の策定と自己評価制度の確立
- ・機関別評価(審核評価、合格評価)における、「高等教育の質モニタリング国家データプラットフォーム」の整備等による、インターネット・ビッグデータ技術を利用した、質のモニタリングネットワークシステムを構築(全ての高等教育の全プロセスを網羅)
- ・専門分野別評価・認証の推進
- ・学術団体、社会組織、産業界の高等教育の質保証への共同参画
- ・専門評価機関による高等教育質評価の実施(政府によるサービス購入方式を採用)
- ・認証結果の公開、行政指導、改善、再審査のメカニズムを構築
原典:教育部