南アフリカの資格機関である、South African Qualifications Authority(SAQA)が、外国の資格審査の結果をデジタルサティフィケート(以下、電子証書)によって発行する試みを2018年3月にパイロットプロジェクトという形で立ち上げた。当パイロットプロジェクトはPrivySeal社と協力し、1年間行われる予定であり、PrivySeal社によれば、ザンビア、ボツワナ、ナミビアと共同で行われる。
電子証書は進学やビザ申請、雇用、職業資格の登録などのために、取得した資格情報をリアルタイムで共有し、進学先や雇用主等が資格情報を確認することを可能にする。発行までの手順としては、SAQAが初めに外国資格の位置づけと資格の真贋性を審査し、南アフリカの国家資格枠組と照らし合わせて資格を比較した後、PrivySeal社による電子証書の発行となる。
電子証書に示される情報は、資格の種類、資格を授与した機関、修了日、南アフリカの資格と類似する資格(Closest Comparable South African Qualification)、当該資格の国家資格枠組のレベル、単位数などである。
電子証書の内容は付属するデジタルシール※1で確認する。デジタルシールは電子メールの署名欄やソーシャルメディア、ウェブサイトに貼ることができる。デジタルシールをクリックすると、電子証書が表示され、資格保持者が保有する資格について詳細な情報を示すことができる仕組になっている。
今回、SAQAが発表したような取組はカナダでも見られる。同国で資格認証サービスを提供するWorld Education Servicesは、資格審査の結果をブロックチェーン※2を用いたデジタルバッジという形で発行し、資格に関する情報の改ざんを防止し、正確性を確保している(本サイト2018/6/18投稿記事)。SAQAが発行する電子証書では、ブロックチェーンは使用されていない。
※1デジタルシール:デジタルバッジなどとも呼ばれ、保持者が取得した特定の資格を示すことを目的として、オンライン上で表示されるピクトグラムやロゴのことである。
※2ブロックチェーン(block chain):中央集権的な機構がなく、外部に開かれている情報ネットワーク。各データの変更履歴は1本の鎖のように繋げられているため、元の状態に戻せず、改ざんができないとされている。