ついに資格認証の分野にもブロックチェーン※1が試験的に導入されることになり、オンライン上で資格情報を表示することによって、採用・就職活動から、求職者が保持する資格の認証まで、同時に行われる可能性が出てきました。これは、採用・就職活動のプロセスの加速化や学歴詐称を防ぐ点において、画期的なことです。
資格認証の分野にもブロックチェーン、オンライン上でも資格の信用性を確保
米国とカナダで資格認証サービスを提供するWorld Education Services(WES)は、デジタル資格認証ツールを開発するCredly社と連携し、WESへの資格認証の申請者に対して、ブロックチェーンをベースとしたデジタルバッジ※2を提供するプロジェクトの実施を発表しました。WESに認証された資格は、資格の保持者が共有したい時に希望する方法で雇用主や進学先などと共有することが可能で、ブロックチェーン技術により、オンライン上であっても、WESが発行した証書について、改ざんされることなく、取得した資格情報を提示することができます。
同プロジェクトでは、人数を限ってWESがデジタルバッジを試行的に発行し、バッジの保有者、雇用主、入学審査の関係者のニーズの把握を目指します。プロジェクト終了後、デジタルバッジの発行対象者の拡大も想定されています。
ブロックチェーンベースのバッジが採用の現場にもたらす威力 ―雇用と資格のチェックを同時に実施!?
WESが発行する予定のデジタルバッジは、ブロックチェーンを用いるという点で、仮想通貨と技術が似ており、情報を暗号化してデジタル上に記録させるものです。WESの発行するデジタルバッジはLinkedInといったビジネス特化型SNSで表示することができるため、資格保持者は、取得した資格について、改ざんの可能性を排除し、セキュリティを確保した状態で、雇用主やビジネスパートナーに対し、即時に提供することができます。ビジネス特化型SNSでは登録者のアカウントそのものが履歴書や名刺として機能し、採用活動も行われているため、デジタルバッジが就職・求人活動に直接関係しうることを意味します。また、改ざんができないとされているため、学歴詐称の防止につながることが期待されます。
ブロックチェーンが変える高等教育のあり方 ―日本の大学も無視できなくなるか
近年、ブロックチェーンは高等教育分野においても導入されていますが、その方法は多岐に渡っています。
実際、米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)はブロックチェーン学位を発行しています(本サイト2017/11/17投稿記事)し、マルタでは生涯学習の履歴のデータ管理にブロックチェーンを使用しています(本サイト2017/11/28投稿記事)。また、英国の大学の中には、ブロックチェーン技術を用いた高等教育の提供を予定(本サイト2018/4/25投稿記事)している大学もあります。これらの事例の共通点は、即時にデータの裏付けが取れることや不正が発生する確率を極めて低く抑えることが可能であるという点です。
「留学生がブロックチェーンベースのバッジを持って留学申請をしてきたら」と考えると、日本の大学もブロックチェーンと無関係ではありません。日々進歩する技術に今後も注視が必要です。
参考: WES(英語)
(文責:M.M)