米:MITが「ブロックチェーン学位」の発行開始

ブロックチェーン技術を使ったデジタル学位の登場

モバイルアプリ上で閲覧、共有も可能

米豪の大学で実用化が始まる


アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)が、2017年6月からブロックチェーン技術を用いた学位の発行を始めた。同大学は、2017年6月に特定の修士課程を卒業した111名の学生に対し、デジタル学位(digital diploma:紙ではなく電子的に発行された学位のこと)を受け取るオプションを与えた。さらに、同年9月に卒業した学生に対しても同様に提供した。

デジタル学位はBlockcerts Walletというアプリケーションを介して、自身のスマートフォンやタブレット端末に学位をダウンロードできる仕組みである。大学が発行したデジタル学位は、学生が登録したデバイス上のアプリでしか表示されないように鍵がかかっており、不正利用対策もなされている。

学位保持者は進学や就職時などに、このデジタル学位を任意の第三者とシェアできる。シェア先が学位に記載された情報の裏付けを取りたい場合は、MITの確認用サイトにアクセスすれば、大学職員の手を煩わせることなく瞬時に確認作業ができる。

また、情報を分散して管理できるブロックチェーンの特性を利用し、仮にMITが機能しなくなっても、デジタル学位を持つ学生自身が公的記録の証明を行うことができる。

ブロックチェーンを用いた資格の電子化はオーストラリアでも始まっている。メルボルン大学は2017年10月より、自学の教員を対象とした研修であるMelbourne Teaching Certificate(MTC)の修了証をBlockcerts Walletを通して発行している。MTCは1セメスターの間、対面とオンライン上で教員の能力開発を行うプログラムで、対象者に無償で提供している。

紙の証明書を電子化する取り組みは他の国でも見られる(本サイト2017年6月7日)。オランダやアメリカでは成績データの電子送信プラットフォームが整備されている。フランスや韓国をはじめとする各国では、証明内容の確認を電子的に行うサービスが確立している。さらに、オーストラリアとニュージーランドが共同で取り組むMy eQualsは、紙の学位記を廃止し電子データに置き換えることを目標とした事業である。また、欧州高等教育圏で用いられているディプロマ・サプリメントも電子化に向けての調査(本サイト2017年9月20日)が行われている。

ブロックチェーン(blockchain):中央集権的な機構がなく、外部に開かれている情報ネットワーク。各データの変更履歴は1本の鎖のように繋げられているため、元の状態に戻せず、改ざんができないとされている。ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨に採用されている技術として知られる。例えば、ある取引がビットコインを介して行われた場合、取引内容はそのビットコイン上に記録され、記録内容の正当性は多数の第三者による確認をもって裏付けられる。この技術を応用し、通貨だけでなく不動産登記をはじめとした種々の情報に対する利用が世界中で模索されている。

原典①:Digital Diploma debuts at MIT(英語)
原典②:Digital Diploma Pilot Program FAQs(英語)
原典③:University of Melbourne to issue recipient-owned blockchain records(英語)
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