書類を有さない難民の資格審査、カナダでプログラムとして確立、米国でも2019年からスタート

2018年10月、カナダで難民の資格審査のパイロット事業を実施しているWorld Education Services(WES)は、当事業を正式なプログラム「The Gateway Program」として確立した。
2015年以降、カナダに逃れた47,000人のシリア難民のうち、約半数は学位を保有していたにもかかわらず、その多くは資格審査に必要な書類を有していなかったために適切な進学や就業機会を得ることができなかったことが当事業の背景にある。WESは2016年から2017年にかけて、シリア難民200名を対象に書類を有さない資格審査のパイロット事業を実施した。

WESによると、WES Global Talent Bridgeが主導して行う「The Gateway Program」は、スキルを有する移民を支援することに特化したプログラムで、公的な書類の真贋性の判断ができない場合であっても、資格審査を実施することによって、カナダの大学への入学や職業資格の保持を助けることを目的とする。対象となる難民はアフガニスタン、エリトリア、イラク、シリア、トルコ、ウクライナ、ベネズエラからの学生など、パイロット事業よりも対象者の拡大を図る。同様の事業はアメリカでも2019年から実施される予定である。

パイロット事業での経験

WESは基本的に申請者が提出する書類を用いて資格審査を行う。証明書がない場合にはシリアの教育機関と協力して、申請者が主張する学習歴の確認をとり、証書を復元する。なお、パイロット事業時は72%の申請者が審査に必要とされる全ての証明書を提出しており、残りの28%が証書の復元が必要なケースであった。
また審査にあたっては、地域に根差し、難民を支援する業務を行うコミュニティエージェンシー7機関と関係する規制機関2機関を照会者(referral partner)として任命し、協力を得た。

書類を有さない難民の資格審査に当たっては、WESは40年以上の専門的な経験と外国の教育制度に関する広い知識を生かして対応しているという。
パイロット事業では、申請者のディプロマや学位について、WESが有するアーカイブやシリアで実施されている教育カリキュラムに基づいて、不足している情報の穴埋めをしたり、不完全な書類でカナダの学習コースと相当するものを決定したりすることができたという。

書類を有さない難民の資格審査―各国の状況は様々

現在は難民の資格審査に取り組む国・地域が増えてきているが、実際に受け入れている難民の出身国は様々である。エストニアの場合は、近隣諸国からの難民の割合が高く、シリア難民の割合は少ない(本サイト2018/9/27投稿記事)。一方、欧州委員会が行う「難民のための欧州資格パスポート」(European Qualifications Passport for Refugees)に関する取組はシリア難民の発生をきっかけに生まれたものであり、難民の資格審査に関して地域レベルで取り組んでいる(本サイト2017/2/16投稿記事)

原典: World Education Services(英語)

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