モスクワにある私立大学Moscow School of Social and Economic Sciences (MSSES)が、2018年6月、ロシアのアクレディテーションを担うロシア連邦教育・科学監督庁 (Rosobrnadzor)により適格認定(accreditation)を取り消された。この大学は英国マンチェスター大学(University of Manchester)とのダブル・ディグリープログラムを提供している。
ロシア連邦教育・科学監督庁はロシアの高等教育質保証において、設置認可、機関別及び専門分野別アクレディテーション、教育の質に関する評価を行うなど重要な役割を果たしている。
なお、ロシアでは適格認定を取り消され大学は学位を授与できなくなるが、設置認可が取り消されない限り、教育活動の継続は可能である。
今回の認定取消しの理由としては、以下のように報道されている。
・教育プログラムに関して、多分野での活動に対応する専門的な能力を維持していない
・教員の中には学歴が国の水準を満たしていないケースがみられる
MSSESは認定取消しによりロシアの学位は授与できなくなったが、機関としての設置認可は取り消されておらず教育活動は継続している。MSSESは引き続きロシア国内では効力のないディプロマとマンチェスター大学のディプロマを授与する方針である。また、同校は修士課程ではロシア大統領府直属国立経済行政アカデミー(RANEPA)とのダブル・ディグリープログラムを提供しており、MSSES、マンチェスター大学、RANEPAの3つのディプロマを引き続き授与していくものと思われる。
一方で、2017年に認定取消しが行われたEuropean University of St. Petersburg(私立大学)は、機関としての認可も取消された。そのため、教育活動が継続できなくなり、現在廃校している。
原典
①MSSES公式サイト(ロシア語)
②メドゥーサ(ラトビアを拠点とするロシア語独立メディア)記事
③ロシア連邦教育・科学監督庁(Rosobrnadzor)