韓国:大学の評価指標の改善を通じた内部監査システム強化の取組

韓国の中央行政機関の一つである国民権益委員会(Anti-Corruption & Civil Rights Commission)が、大学の内部監査システムの強化を図るため、大学の財務・会計における不正等の防止対策を策定し、大学の評価を実施している教育部、韓国大学教育協議会、韓国専門大学教育協議会、韓国私学振興財団の4機関に対し評価制度の改善を勧告した。

国民権益委員会が2018年8月に行った実態調査の結果、公共機関等を除く国公立大学42校中の34校(81.0%)及び私立大学※1 42校中の30校(71.4%)において、大学内の監査システムが不十分であることが明らかになった。監査システムが構築されている大学でも、学長が監査員を任命する仕組であるため、監査の独立性が保たれていない事例があった。

※1直近1年6か月間の間(2019.1月基準)教育部の監査を受けた私立大学が対象。

また、同委員会は韓国大学教育協議会による大学機関別評価認証や教育部が2018年に実施した大学基本能力診断評価の評価指標には「内・外部監査システム」※2が含まれているが、当該指標では、内部監査システムの独立性、監査活動、内部通報者の保護システム等についての評価が難しく、評価の最終結果に影響を及ぼすような指標と言えるものではないと指摘した。

※2内部監査とは、大学が自ら監査を行う場合や法人監査など、大学内部の監査組織により行われる監査を指し、外部監査とは、公認会計士による会計監査や監査院等の大学と利害関係のない外部機関による監査を指す。

国民権益委員会が教育部に勧告した内容:

  1. 「監査組織の独立性」、「監査実績及び改善状況」、「監査結果の公表状況」を大学の評価指標に追加し、内部通報の手続きや内部通報者の保護制度の構築について評価すること。
  2. 大学内に独立した監査組織を設置し、監査組織の長は公募を通じて任用すること。設立者や運営者の利害関係者等を監査組織の長に任命してはならない。また、独立性の確保のため、外部の専門家を参加させること。
  3. 外部からの通報により不正行為が発覚した大学に対しては財政支援を制限し、内部監査により発覚した場合は財政支援制限を緩和すること。また、通報者への報復などが行われた場合は財政支援の評価時に不利益を与えるなどの措置をとること。
  4. 監査結果に関する具体的な措置基準と内部通報基準を整備し、大学に公表すること。大学の公表すべき「財務・会計等の運営に関する重要情報」の範囲を拡大すること。

原典:国民権益委員会

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