ベトナムからの留学ビザ申請に卒業証書の認証を義務化
日本語教育機関への留学希望者が対象
教育訓練省のVN-NARICが認証を行う
ベトナムの日本大使館によると、2019年3月1日よりベトナム人が日本語教育機関*での学習のため日本の留学ビザを申請する際、新たに高校卒業証書の認証が必要になった。この認証はベトナムの教育訓練省教育質管理庁にある学術認証情報センター(VN-NARIC**)が行う。認証制度の活用は、偽造した卒業証書を用い不適正に日本留学をあっせんする業者への対策の一環。
*日本語教育機関は、専門学校、各種学校、設備・編成が各種学校に準ずる教育機関のうち、法務省の告示を受けたところ
**VN-NARIC: Vietnam National Academic Recognition Information Centre
VN-NARIC(原語名称:Trung tâm Công nhận văn bằng)のウェブサイトによると、同センターはベトナム国内にある高等教育機関と課程リストの提供、外国資格の承認、ベトナム留学支援などのほか、ベトナムで発行された高校卒業証書や学位の認証も行っている。
高校卒業証書の認証は、留学希望者が証書の画像と申請書類を添付し、電子メールでVN-NARICに申し込む。申請からおよそ20日で認証が得られる。費用は35万ドン(約1,680円)。
政府による学習歴の認証
このような政府による学習歴の認証は他の国でも行われている。例えば、中国では教育部学位与研究生教育発展中心(CDGDC)と全国高等学校学生信息咨詢与就業指導中心(CHESICC)が、中国で発行された学位、学歴、成績などの認証を行っている(本サイト2018年11月9日掲載記事)。また、アルゼンチン、ウクライナ、ドミニカ共和国なども政府が学習歴や試験の成績を認証している(本サイト2018年10月24日掲載記事)。
偽造証明書への対策
偽造された証明書への対策も各国で取り組まれている。イタリアなど欧州6か国は、大学を騙り通用性のない学位を販売する、いわゆるディプロマミルへの対策をまとめたガイドブックを2018年1月に公表した(本サイト2018年4月16日掲載記事)。同書では存在が疑わしい大学の学位を調査するための5段階の手順を紹介している。
このほか、イギリスの大学連合が運営するHEDD (Higher Education Degree Datacheck)によるツールキット(本サイト2016年8月30日掲載記事)や、アメリカで外国の学歴を審査する民間会社WES (World Education Services Inc.)による白書(本サイト2014年12月26日掲載記事)なども一般に公開されている。
認証制度の積極活用を
日本学生支援機構によると、2018年に日本語教育機関に在籍した留学生約9万人のうち最も多かったのがベトナム人学生であり、その数は30,271人(全体の33.6%)に上った。また、日本語教育振興協会が2017年に行った、同会が認定する日本語教育機関に対する調査では、回答校に在籍するベトナム人のうち81%が課程修了後に日本国内の高等教育機関などに進学していた。
このように、ベトナムからの留学生受入れは日本語教育機関に限った話ではなく、大学など高等教育機関にも大いに関わる話である。また、政府認証の活用により学習歴の確認が公正、公平、効率的に行えるようになる。日本の教育機関は、ベトナムだけでなく他の国からの志願者にも学習歴の認証制度を積極的に活用することが望まれる。
原典①:在ベトナム日本国大使館(日本語)
原典②:在ベトナム日本国大使館(日本語)
原典③:在ベトナム日本国大使館(日本語)