ニュージーランド:質の懸念で揺れるレベル7のディプロマ、NZQFから資格削除も検討

ニュージーランドの資格枠組(NZQF)のレベル7に位置づけられているディプロマ(Diploma、以下「L7ディプロマ」)がNZQFから削除される可能性が示され、議論となっている。
L7ディプロマはNZQF下では特定の産業において必要とされる資格で、専門的・技術的知識と技能を有する個人に与えられる資格とされている。L7ディプロマの課程は私立の高等教育機関を中心に提供されており、経営、社会、文化、ITなどの分野に多い。L7ディプロマは学習期間が1年※1と学士の学位などの他のレベル7の資格と比べて取得までの期間が短いことから、外国人学生が居住権取得のための近道として利用している例も見られるという。
このため、ニュージーランドのナショナルインフォメーションセンターであり、NZQFの管理も行うニュージーランド資格機構(NZQA)は2019年7月から9月にかけて行ったNZQFの見直しに関する意見公募の中で、L7ディプロマの見直しを挙げ、NZQFからの削除を含む、L7ディプロマの扱いについて複数の選択肢を示した。

外国人学生に人気のL7ディプロマと教育の質に関する懸念

ニュージーランドでは永住権(居住権)の申請にあたって、申請者が保有する資格のレベルによってポイントが加算される。レベル7の資格の場合、学士の学位であれば取得までに3年かかるのに対し、L7ディプロマは1年で取得できるため、居住権取得までの期間が短くなる。
NZQAによれば、ディプロマ課程は外国人学生に人気で急速に拡大している一方、その質への懸念は、継続的かつ現在進行形の問題となっている。NZQAは、レベル7について次のように述べている。

  • L7ディプロマに対する強い需要がある一方で、居住権取得のための近道として使用されている例もある。
  • L7ディプロマ課程に対する外部モニタリングは2016年から開始され、英語能力テストに関する多数の重大な問題が明らかとなっている。
  • 2018年12月に移住に関する規則が変更され、L7ディプロマを含む、学位に準ずる資格を有する者に対する就労の権利を減らし、規制当局はL7ディプロマ課程へのモニタリング活動を強化している。
  • 下図のとおり、レベル7には4種類の資格(Bachelor’s Degree、Graduate Diploma、Graduate Certificate、L7ディプロマ)があるが、このうちL7ディプロマのみが学位と関連を有しない資格となっている。※2 

Further consultation on proposed changes to the New Zealand Qualifications Framework, NZQA, p.24より引用

L7ディプロマの取り扱いに関しては、NZQAは下記の3つの選択肢を示している。

  1. NZQFからL7ディプロマを削除する。
  2. NZQFに規定されているレベル1-6を拡大し、L7ディプロマをこの中に含め、L7ディプロマに関する説明とL7ディプロマに分類されているすべての資格を見直す。
  3. その他の方法。

上記のうち、1のL7ディプロマをNZQFから削除する選択肢は質の懸念への対処になるものの、産業界において重要な職業への道筋を奪うことにもなる、とNZQAは述べている。またL7ディプロマの中には就職にあたって重視されている資格もあり、NZQFからの資格削除の影響についてもNZQAは理解しているという。
なお、意見公募は2019年9月9日に締め切られており、今後は2020年の中頃までにNZQFの改訂作業に着手する計画となっている。

※L7ディプロマの学習期間は1年間で、レベル5のディプロマ以降の課程で120単位、そのうち72単位はレベル7のディプロマ課程で取得することが要件となっている。

※2Graduate Diploma、Graduate Certificateともに修士課程の学習の基礎を提供しうる資格となっているが、L7ディプロマにはそのような接続性はない。

原典①:Further consultation on proposed changes to the New Zealand Qualifications Framework(英語)
原典②:NZQA(英語)

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