中国:初の「高等教育機関の海外展開のためのガイドライン(試行)」を発表

中国政府は改革開放政策の下、中国の高等教育機関の海外展開を奨励している。2015年に国務院は中国の高等教育機関の海外展開について、行政の直接的管理から間接的指導へ政策転換を行い、従来の認可制を廃止し届出制として規制緩和を図った。これにより、多様なレベルの高等教育機関による自主的な海外展開が促進され、2019年現在、48か国において128に上る教育機関やプログラムが中国の高等教育機関によって海外展開されているといわれている。

一方、高等教育機関からは、海外展開するうえでの様々なリスクを回避し健全な発展を図るための適切な専門的指導を国に対して求める声が高まっていた。

こうした要望を背景に、教育部の指導のもと、高等教育のシンクタンクである中国高等教育学会が中国の教育機関の海外における学校教育運営に関する研究を実施し、このほど中国の高等教育機関の海外展開に関する初のガイドライン(試行)を発表した。各高等教育機関における経験等をもとに、海外での学校設立・プログラム運営の際に参考となる指針を示している。

ガイドラインの主な内容は、全体計画、フィージビリティスタディ、設立準備、教育、組織管理等学校運営全般に及び、今後も適宜改良を重ねていく方針である。

中国の高等教育機関の海外展開の現状:

海外展開のタイプには、大学の海外分校、中国の高等教育機関と現地の高等教育機関との共同設置教育機関、現地の教育機関との共同教育プログラム等があり、大学が単独で海外分校を設置している例としては以下のようなものがある。

  1. ラオス蘇州大学(老挝苏州大学)(2011年)
  2. 同済大学フィレンツェキャンパス(同済大学同济大学佛罗伦萨校区)(2014年)
  3. 厦門大学マレーシア校(厦门大学马来西亚分校)(2016年)
  4. 温州大学イタリア校(アレツッオキャンパス)(温州大学意大利分校(阿雷佐校区))(2016年)
  5. 北京大学滙豊ビジネス学院英国キャンパス(北京大学汇丰商学院英国校区)(2018年)

これ以外の多くは、現地の高等教育機関と共同で設置された教育機関や共同教育プログラムである。

中国の高等教育機関の海外展開における問題点:

  • 現地の教育のニーズに適した、魅力のある人材育成のモデルが出来上がっていないため、学生募集がうまく進まず、ほとんどのケースにおいて学生の規模が小さい。(最大の厦門大学マレーシア校で4000人)
  • 中国では、事業体が国有資産や国からの予算を利用した対外投資等を厳しく制限されているため、海外校は初期投資にあたって大きな困難を抱えている。
  • 公職者の海外派遣に関する管理規定により教職員の出入国に制限があり、学校運営に支障をきたしている。
  • 中国の高等教育機関は、発展途上国に多く展開しているため、学費の面で現地の教育機関との競争力に欠ける。一部の大学では、中国本土からの学生が過半数以上を占めている。
  • 中国で一流といわれる大学は必ずしも海外展開に積極的ではない。

中国政府は、今後中国や現地の企業の参画を通じて民間資金の投入を図ることで、高等教育機関の海外展開が促進されることに期待を寄せている(中国政府は近年企業や個人に対する所得税の寄付金控除政策を強化している)。

原典:

 中国高等教育学会(中国語)

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