2018年、中国は196の国と地域から49万2千人の外国人留学生を、全国1004の高等教育機関と研究機関で受け入れた。留学生受入れの急速な拡大の一方で、留学生教育の質をいかに保証していくかに関心が集まっている。
中国政府は一帯一路政策 ( 2017年5月30日 、2018年9月20日 本サイト掲載記事を参照) を下支えし、高等教育における中国の国際的影響力を向上させるものとして留学生受入れ事業を極めて重視し、近年留学生教育の質向上についての一連の政策を打ち出している。
2017年
- 教育部が「外国人学生の募集と育成に関する管理法(原語:学校招收和培养国际学生管理办法)」を策定
2000年に制定された、留学生受入れに関する管理規定である「高等教育機関外国人留学生受入管理規定(原語:高等学校接受外国留学生管理规定)」に代わるものとして、教育部、外交部、公安部によって制定された。中央政府の教育部門が留学生の人材育成の質に対する監督制度を構築し、それに従って地方政府の教育行政部門が当該地区の教育機関の指導・監督を行うとしている。
当該管理法では、留学生の募集、学費、奨学金、育成計画、教員、履修科目、サポート体制などについて規定しているほか、新たに「監督管理」の項目が設けられ、規定に違反した場合の罰則も盛り込まれている。
2018年
- 教育部が「留学生高等教育の質基準(試行)(原語:来华留学生高等教育质量规范(试行))」を発表
この基準は、留学生の入学資格や、中国語レベル、入学試験と選考方法、専攻の設置、学位授与、サポート体制、同窓会組織等、留学生受入れ全般にわたっている。
留学生教育における基本的な国家基準として、各教育機関の内部質保証の根拠となることが期待されている。
- 教育部が「留学生高等教育の質基準(試行)」に則って全国的な監督・点検を実施
点検の結果、18校において、学生募集、ビザの管理業務等に関する違法行為が発覚し厳格な措置がとられた。このうち16校は留学生受入資格停止処分を受けた。
2019年
- 中国教育国際交流協会(CEAIE)が「留学生教育の質についてのアクレディテーション (原語:高等学校来华留学质量认证 )」を正式に開始
教育部は、留学生教育の質について、国際的な通用性、認知度を高めるため、第三者機関によるアクレディテーションの実施を奨励している。
CEAIEは、2016年に当該アクレディテーションの試行を開始し、これまでに93校が受審した。 2019年からは正式なアクレディテーションが開始される。
このほか、教育部では2012年以来、累計1300人余りの教員を対象とした英語による授業に関する研修及び3000人を対象とした留学生受入れ部署の幹部研修を実施し、全国の外国人留学生管理システムの構築に努めている。
原典:中央人民政府(中国語)
中国教育国際交流協会(中国語)