中国の医学教育が、インドをはじめ主にアジア諸国の学生の人気を集めている。特に医師の社会的地位が高いインドでは、欧米に比べ学費の安い中国で英語を用いた医学の学士課程(MBBS: Bachelor of Medicine and Bachelor of Surgery)で学ぶ学生が増えており、中国教育部が発表した2018年の統計によると、中国にはインドからの留学生が約2.3万人在籍しているが、その大部分が医学生であるとされている。
中国の多くの大学で留学生獲得のため、英語で教育を行う臨床医学専攻学士課程(MBBS)が設けられた。しかし中には、英語で医学分野の授業ができる教員の確保が難しく、英語を用いた教育という謳い文句とは裏腹に中国語と英語が併用されるなど、教育の質が伴わないものもあり、中国の医学教育の名を貶めるとの懸念があるとして、2019年教育部は英語を用いたMBBS課程の学生募集が可能な大学を45校に限定し、その名簿を公表した(下表)。2019年からこの名簿に掲載された45大学のみが教育部の募集計画にそった学生募集ができる。掲載されていない大学はMBBS課程の学生募集は厳しく禁じられることとなった。
中国語を用いた臨床医学専攻の学士課程はこの限りではないが、「中・英バイリンガル教育」を謳った募集も厳禁となっている。
また、名簿に掲載された45大学以外の臨床医学専攻学士課程の英語版の卒業証書に「MBBS」の文言を入れることも禁止している。
海外留学生を対象とした英語で教育を行う臨床医学専攻学士課程(MBBS)を提供する大学の名簿及び募集人数(2019-2020学年度)

(中国教育部のウエブページを基に作成)