中国政府が蓄エネルギー技術分野の博士人材育成プログラムを開始

2022年8月、中国教育部、国家発展改革委員会※1、国家能源局※2は、2022年から2025年までの4年間、高等教育機関に特別プログラム(原語:储能技術国家急需高层次人才培养专项。以下、「蓄エネルギー人材育成プログラム」)を開設させて、蓄エネルギー技術分野※3の博士人材の育成を行うと発表した。高等教育機関と企業が連携して人材を育成する。

中国政府は、2030年までにカーボンピークアウト、2060年までにカーボンニュートラルの実現を目標とし、関連する技術の人材育成に注力するとして蓄エネルギー分野の人材育成モデルの構築を急ぐと表明しており(本サイト2022/06/22掲載記事)、本プログラムでは、脱炭素社会の実現に向けた専門人材の育成を目指す。高等教育機関10校と国内の連携企業18社(後段参照)が、蓄エネルギー分野の重要な技術開発を牽引する国際的視野を備えた高度人材を共同で育成し、中国が高水準の蓄エネルギー技術を自身で開発できるようにすることを目標としている。

なお、蓄エネルギー人材育成プログラムの成果は、双一流建設※4の効果評価の重要な指標となるほか、蓄エネルギー人材育成プログラム見直し時の資金配分の根拠とされる※5

※1国務院(日本の内閣に相当)の部門で、経済・社会の発展に関する政策の策定を担当。
※2国家発展改革委員会所管の組織で、エネルギー政策を担当。
※3蓄エネルギー技術分野とは、主に蓄電技術や揚水式水力発電等に関連する分野を指す。本プログラムでは、主に電気工学、電力工学、工学熱物理学、化学工学、化学技術、材料科学、材料工学が対象である。
※4「双一流建設」とは、世界水準の大学と学科(専門分野)の構築を目指して、中国政府が一流大学と一流学科を指定する政策。双一流は一流大学と一流学科の総称である。(本サイト2022/4/19投稿記事
※5教育部、国家発展改革委員会、国家能源局は、不定期で本プログラムの評価を実施する。評価では、共同人材育成の効果、学生の技術イノベーション能力と業界の発展への貢献などの状況が確認される。評価結果は、プログラム実施機関の調整に活用され、不合格となった実施機関については、プログラムの実施資格が取り下げられる。

■プログラムの概要

1.目標

蓄エネルギー分野において、高等教育機関と企業が連携して人材を育成するモデルを模索するとともに長期的システムの構築を目指す。
企業が研究開発に注力している領域の案件に、博士課程の学生を直接参加させ、多岐にわたる知識と国際的視野を兼ね備えた、蓄エネルギー分野の重要問題を解決できる高度人材を多数育成する。また、プログラムの実施を通じて高い成果を上げた高等教育機関と企業を選定し、人材育成拠点を設置することで長期的な共同育成システムを構築する。 

2.実施内容

  • 電気工学、電力工学、工学熱物理学、化学工学、化学技術、材料科学、材料工学などの関連分野を専攻する博士課程の学生を対象とし、各高等教育機関が優秀な学生20名を蓄エネルギー人材育成プログラムに参加させる。
  • 企業と高等教育機関が共同で人材育成を行う。学生の指導は、高等教育機関と企業の担当者が共同で行い、教育の質を確保する。
  • 高等教育機関がプログラムの実施計画(教員構成などの基本状況、プログラム設計、人材育成目標、人材育成の重点措置、共同人材育成の体制等)を策定する。
  • 高等教育機関と企業は、覚書を交わして、双方の権利と責任を明確にする。

3.各機関の役割

  • 教育部:学生募集計画を策定する。育成能力や実施状況に応じて高等教育機関を個別に支援する。
  • 国家能源局:実証実験の実施などにおいて、関連企業と高等教育機関の連絡強化に努め、高度人材育成の支援を行う。
  • 高等教育機関:機関の管理職が長を務める蓄エネルギー人材育成チームを設立して本プログラムを実施する。
  • 共同育成実施企業:プログラムに参加する博士課程の学生の研究課題を設定し、研究条件(環境や設備等)と研究費を提供する。また、奨学金制度を設けることが望ましい。

4.実施機関

〇高等教育機関(10校)
清華大学、天津大学、華北電力大学、ハルピン工業大学、上海交通大学、浙江大学、中国石油大学(北京校)、華中科技大学、重慶大学、西安交通大学

〇企業(18社)
中国石油天然ガス股份有限公司、中国石油化工集団有限公司、中国海洋石油集団有限公司、国家電網有限公司、中国南方電網有限責任公司、中国華能集団有限公司、中国華電集団有限公司、国家電力投資集団有限公司、中国長江三峡集団有限公司、国家能源投資集団有限責任

5.今後のスケジュール

高等教育機関は、2022年9月20日までに蓄エネルギー人材育成プログラム計画を作成し、11月20日までに連携先の企業と共同育成の覚書を交わして教育部に提出する。

原典:教育部

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