アジア5か国:教育制度や資格制度に関するナショナルレポートの公表

2022年9月6日、イタリアの国内情報センター(NIC)である学術移動・同等性情報センター(CIMEA)は主導役を務める欧州・アジア共同プロジェクト「RecoASIA」の成果物として、アジア5か国(カンボジア、モンゴル、スリランカ、タイ、ベトナム)の教育制度や資格制度等をまとめた「ナショナルレポート」を公表した。

ある大学が外国の学位などの資格を持った学生からの出願を受けた際、出願資格の有無を判断するためその国の教育制度を知る必要がある。このレポートは、当該国の政府機関などの公的機関が参画し、正確な情報を英語でまとめている点で、外国資格承認を促進するうえで大きな役割を果たすものと期待されている。

RecoASIAとは

RecoASIA(Regional Cooperation in the field of recognition among Asian countries)は、資格承認の促進による欧州・アジア間の質を伴ったモビリティ向上を目的に、CIMEA とラクイラ大学(イタリア)の主導により2019 年 11 月より実施されている3か年のErasmus+(NIAD-QE国際課まとめ)助成プロジェクト。アジアからはカンボジア、モンゴル、スリランカ、タイ、ベトナムが正パートナーとして、日本、中国、韓国、ユネスコバンコク事務所が準パートナーとして参加している。欧州においてリスボン承認規約などの下で長年蓄積された外国資格を有する学生を受け入れる際の様々なノウハウ・経験を共有し、欧州・アジア間の相互信頼を向上させるため、計10のワークパッケージ(WP)が実施されている。

ナショナルレポートの概要

ナショナルレポートはRecoASIAの正パートナー国である、カンボジア、モンゴル、スリランカ、タイ、ベトナムの5か国それぞれについての教育制度や資格制度をまとめた資料である。

このレポートは、 「高等教育制度および資格承認に関する国別レポートの作成」と冠されたWPの下で作成が進められ、当該国のコンソーシアム(政府機関またはNICと、2大学)と欧州の NIC(CIMEA を中心とする)が定期的なオンライン会議を重ねるなど協働しながら、2021 年夏頃から約 1 年かけて作成された。

レポート本文は、RecoASIAのホームページに掲載されている。

ナショナルレポートの掲載項目(例)

以下では掲載項目の例としてカンボジアの項目※1を紹介している。掲載項目の細部は国により異なるが、いずれの国も高等教育に焦点を当て、制度概要、機関種、入学資格、高等教育資格、質保証、海外資格の承認など、その国に関心を持つ外国の大学関係者にとって有用な情報がまとめられている点で共通している。

レポートの分量はカンボジアとベトナムが概ね 70 ページ、モンゴル、スリランカ、タイが概ね 50 ページとなっている。

1. 高等教育の沿革
2. 法的枠組み
3. 高等教育所管体制
4. 高等教育段階以前の教育制度概要(初中等教育、職業教育)
5. 高等教育への進学
6. 高等教育機関種
7. 高等教育資格
8. 成績/単位制度
9. 質保証と国内資格承認の枠組み(資格枠組み(NQF) 等)
10. 国内での資格承認(学術教育資格・職業教育資格の接続等)
11. カンボジアにおける国際的高等教育機関
12. 外国資格承認
付録 1. カンボジアの教育システム
付録 2. 証明書類のサンプル
付録 3. 承認された高等教育機関一覧

※1 大学改革支援・学位授与機構国際課が目次を抜粋、仮訳の上一部補足。

特に、政府によって承認された高等教育機関一覧や、資格証明書類のサンプルが掲載されており、大学や第三者機関が当該国の資格保有者に対して資格審査をする際に、そのまま使える実践的情報が掲載されている点は大きな特徴と言える。

【参考】大学改革支援・学位授与機構の「高等教育・質保証システムの概要」

大学改革支援・学位授与機構においても、各国の高等教育制度・質保証制度に関する基礎情報を日本語(一部英語版あり)でまとめた「高等教育・質保証システムの概要」を刊行している。高等教育制度と質保証制度の両面に重点を置き、当該国の関係機関や有識者の助言を受けつつ正確性を重視しながらまとめている。刊行国数は2022年10月現在で18か国・地域。PDF版を大学改革支援・学位授与機構ウェブサイトに掲載している。

原典:RecoASIA(英語)

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